おやすみ。
□第5話
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「わぁ・・・綺麗な布がいっぱい!!」
「で、布買ってどうすんだ。」
「着物を作るのですよ。」
「着物?」
「はい、政宗様の。」
着物を作るのは気力がいる。=体力も減る。
ましてや、俺の着物となると俺が神経を痛めるぞ。
「NO。」
「・・・・。」
愛子の顔が膨れた。
「今回は何を言われても絶対作りますから!!」
「・・・・。」
ああ、この顔はもう何を言っても聞かないだろうな。
「・・好きにしろ。」
「ありがとうございます。」
俺の許しを得た所で、布を手に取った。
「政宗様は青を召されることが多いですよね。」
「そうだな。」
「だから今回は深緑にしようと思いまして。」
「深緑。」
「そうです、異国語で“もすぐりーん”です。」
わかってるよ。だがお前のEnglishは萌えだ。頼むから不意打ちはやめてくれ。萌える。
「よし、この生地にいたしましょう。」
「ああ・・・お前用のはいいのか?」
「え?」
「せっかくだ。喜多にでも作ってもらえ。」
「・・・・。」
「俺は忙しくて作れねェから。」
「・・・・はい!!じゃあ、政宗様が選んでください。」
「俺が?愛子なら何でも似合うだろ。」
「私は政宗様が選んでくださった布がいいです。」
「仕方ねえな。」
ぐるりと店の中を見渡して、パッと目に入ったもの。
「これ。」
「綺麗・・・。」
それは、ピンクから赤に下へ行くほど染まっていく、桜柄の布。
「お前にピッタリだろ。」
「ほんとうですか?」
「俺の目に狂いはねェ。you see?」
「・・・。」
その布を俺の手から取り、愛子は笑った。
「あいしー。」
やっぱcuteだな。さすが俺の嫁。
お前がこの柄の着物を着るのが楽しみだ。
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