「レンー」
俺の名前を呼びながらリンがタタタッと駆け寄ってきた。
「レン!ポッキーゲームをしよう!!」
そう言われた瞬間、またか…………と思った。
毎度のことながらリンは時折、危険度の高い話を持ってくる。
満面の笑みで、どうだ!という感じの顔からして、誰かに何か吹き込まれた可能性が高い。
と、いうよりリンはしっかりとポッキーゲームを知っているのだろうか……?
「ミク姉に聞いたんだー。11月11日はポッキーの日で、その日には必ずポッキーゲームをしなければならないのだと!!」
……いったいどんな理由でしなければならないのだろうか!?
やはり誰かが変な事を吹き込んだのか……。カイトじゃないだけマシな気がする。
「だからね、ポッキーゲームしよ?」
子首を傾げるという動作が堪らなく可愛いと思った──ではなく……。
「……俺は別にいいんだけど、リンポッキーゲームってどんなのか知ってるの?」
「え?ポッキーを早く食べるってゲームじゃないの?」
──やっぱりわかってなかった。
「………あのねリン、ポッキーゲームっていうのはポッキーの両端をくわえて食べていくってやつだよ?で、先に離した方が負け。←Wikipediaより」
「えっ……そっそうなの!?ごめん」
真っ赤になったリンは大慌てで逃げようとした。けど俺は逃げていくリンの腕を咄嗟につかんで引き寄せた。
「レッ…レン?」
「俺は別にいいよ?リンが嫌じゃなければの話だけれど……」
「さてさて、リンちゃんとレン君はどうなったかなぁ?」
リンとレンの部屋で今回の首謀者──ミクがドアノブに手をかけ、にやけ顔でその扉を開けた。
「やーー!!どうなったかな…………」
「あっん……れ……ん」
「………リン可愛い」
パタン
何も見なかったかのようにミクはドアを閉めた。
「あ、今日のご飯何かなぁ」