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「アイツ本当ムカつく!」
あてがわれた自室に入り、今の気持ちを率直にぶちかました。
これからやっていけるか物凄く不安だ。
………でもこの部屋は素敵だな。全てがピンクで統一されていて、大きなフカフカのベッドに大きなクマまでいる!
勢いよくクマに向かってジャンプする。
抱き締めた感触も、匂いも、なんとも言えない。
フカフカのもふもふで包まれてそのまま寝てしまいそうで……。
でも急に現実に引き戻された。快翔さんがドアを開けてこちらを見ているのに気付いたから。
「ごめん……開いてたから。お昼出来たから皆で食べようと思って…………ふふふ…あはは」
完全に見られてた!恥ずかしい。子供みたいだったハズ。
「あははは……可愛かったよ」
そう言って立ち去ろうとして、ふいにこちらを見て言った。
「あんまりその格好でそういう事はしないようにね」
すぐに何の事かわかって顔が火照った。
***
昼食は大きな食堂みたいな場所で、未來ちゃんや琉騎君、アイツも一緒だった。
他に見慣れない人が3人。紫色の長い髪を後ろで結っていて、扇子をひらひらしている男の人。茶色の短い髪をした明るい少年。それと、桃色の髪が綺麗なロングの女の人……どことなく琉騎君に似ている気がする。
「快翔さん。あの人達は……?」
「ああ、扇子ひらひらさせてる人は長男の楽歩(がくほ)様。で、あの笑ってるのは次男の明兎(めいと)君で……それとあの女性は屡香(るか)さんだよ」
「……屡香さんって、琉騎君に似てますね」
「それは二人が姉弟だからかな」
「そうなんですか!?」
琉騎君に姉がいたとは……しかも綺麗で胸も大きい。私となんて雲泥の差だ。
自分で言っておいてなんだけど、そのショックは大きかった。ロケットミサイルがぶつかって来たような衝撃。そういえば未來ちゃんも中々あったな。
そこでまた落胆。
「お前何してんの?」
ふいにアイツの声が聞こえた。
そしたらどうしようもなく恥ずかしくなってむかついて……。
「かっ、関係ないでしょ」
「そう」
そして上座の近くに座る。他の人達も次々に席を埋めていく。
結局私は一番最後に余っていた席に座った。それは未來ちゃんの隣で、前には屡香さん。どうしても頭より下の方。胸に視線が行ってしまう。
そんなの失礼だし、誰かに見られても恥ずかしいよ。
「えーっと……もう知ってる人もいるかもしれませんが仲間が一人増えました。鏡音鈴さんです」
「……えっ……はっはいっ!?」
ぼーっとしていたらいつの間にか紹介されていたらしく、変な返事しか返せなかった。
ダメだ、初めての挨拶なのに……。視線が集中してうまく話せそうにない。
というより、いきなりだしなんかもう一杯一杯。
「えーと、わわ、私は……」
「コイツは鏡音鈴。俺のメイド。明兎、手出すなよ」
そう言ったのは、椅子にふんぞり返って偉そうにしているヤツだった。
――助けてくれたのかな……。
いやいや、ない。あり得ないよね、うん。