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「嘘、さいっあく………」
私の目の前には、クラス分けの紙が貼りだされている。
そしてそれは、どういう訳かミクちゃんにルキ君、あいつまで揃っている。
何かの陰謀にしか思えない!
「やったあ!!リンちゃん一緒のクラスだよ!」
「そ、そうだね……。ルキ君も一緒だし、すごい偶然だよね」
「そうだよねー。レン様も一緒だし、学校では普通に接しろって言われてたけどどうしようか?」
「うーん……あんまり関わらなければいいと思うんだよね!」
正直、嫌いなアイツと同じクラスってだけで地獄に堕ちてしまいそうなくらいの気分なのに、あいつと話なんてしたくもない!
触らぬ神に祟りなしって言うし、出来れば関わりたくないという思いが強い。
最初は教室に向かうらしく、ミクちゃんと二人一緒に教室のある三階へと昇っていく。
「ねぇ、ミクちゃんなんか騒がしくない?」
「そうだね〜何かあるのかな……って」
ミクちゃんが言葉を途中で止める。私にも見えたなぜ人、主に女子がいるのか。
黄色い歓声を浴びているその人物は私たちよりも早くに家を出た黄色い髪のあいつだった。
「う、わ……」
「レン様モテモテだねぇ〜」
ミクちゃんが呑気に言ってるけど私はただ単に疲れを感じた。何で同じクラスなのかなぁ!
「レン君このあとうちらと遊ばない〜?」
「ごめんね、今日は大事な用事があるんだ。明日一緒に遊ぼうよ」
「えー!本当にぃ〜?」
「やったぁ!」
漏れ聞こえてくる声はどれもきゃぴきゃぴというかなんというか。私とは違って明るくて、大人っぽい女の子たちばかり。なんかムカつく。
ていうか……
(なんで私の時とはあんなにも態度が違うのよ!)
あそこにいるヤツは、明らかに猫被ってるとしか思えないくらいの爽やかスマイル100%だ。騙されるなお前たち、とつい忠告してしまいたくなる。
ま、私には関係のないことだと割り切ってしまえば簡単よね。人生何事にも足をズブズブ突っ込んでいたら大変なことになるもの。
幸いすぐに担任が来て、彼女たちの楽しい一時は終わりを告げた。そして私も。
「何であんたが後ろなのよ」
「仕方ないだろう。五十音順というのがお決まりなんだからな」
これは全て小声だ。
アイツの周りは私以外男だし、変な因縁をつけられたらたまったもんじゃない。
後ろから物凄く見られている気がして先生の話なんてうまく入ってこない。嫌な汗が顔中から吹き出してきてどうにも居心地が悪い。
番号が後ろってことは掃除当番の班も同じだし、集会の並びなんかもコイツが後ろになるかと思うと普段頑丈であるのが取り柄の胃が痛くなりそうだ。
神様も大概不公平である。
今度からは神頼みなんてしないようにしなきゃ。
もんもんと考えている中、ふいに背中にぞくぞくと怖気が走る。
「!?」
明らかにやっているのはアイツしかいないわけで、しかも絶対楽しんでいる!あー嫌だ嫌だ!
「ふーん。背中弱いのな」
見ずともヤツがニヤニヤと妙に癇に触る笑いをしているなどということがわかる。大体この数日でどんなやつかはわかっているつもりだ。猫をかぶっているのは初めて見たが……。
「じゃあこれから入学式だ、体育館に集まれー。その後は各自解散で構わない」
そこでタイミングよく男の担任の声にみんなが一斉に移動し始めた。せっかくなのであいつを睨みながら思いっきり足を踏んで上げた。ザマーミロ!お返しよ!
「ミクちゃーん一緒に行こう」
もう見慣れた緑のツインテールに後ろから声をかけて、むかつく野郎に背を向けて、大衆の中へと一歩足を踏み出した。
でも私は、自分とあいつのことをずっと見ていた視線に気付くことはなかった──。
な、長いようで短いッ!
微妙に伏線を張ったつもりですがダメだこりゃ!
これから亜種とかいろいろ出さないと成り立っていかないだろうということが容易にわかりますね……
とにかく完成させるぞー!
切り身、頑張ります