俺、鏡音レンがもし赤頭巾を食べてしまう狼だとすれば、きっと赤頭巾はリンということになるだろう。
そして赤頭巾は食べられる。
何せ、俺は赤頭巾が大好物な悪い狼だから。
リンがソファでうたた寝をしている。
こっくりこっくりと揺れる頭と白いリボンがなんとも可愛らしい。
このまま起こさないで見ていたいところだが、もうすぐ夕飯の時間なので起こさなければ俺がメイコ姉に怒られる。
寝起きのリンは厄介だが(それこそいろんな意味で)、それ以上に怒ったメイコ姉はかなり恐い。といっても恐いという言葉だけでは到底言い表わせないのだが………。
「リン、リーン、リンちゃん?」
いろんな呼び方で言いながらリンの白い肩を優しくゆする。
「……んっ?レ…ン」
「リン、もう夕飯だから起きて?」
そう言って立ち上がった俺の服の裾を、俺より少し小さいリンの手がきゅっと掴んでいた。
「――リッ」
「レンがちゅーしてくれなきゃいや……」
………。
なっ、なんですと!?
この子は今なんて発言をしたのでしょうか!
わかってないにも程がある。
キスなんて何回もやっている。主に俺の方から。
リンの方から言ってくるとは……
カチッ
何かが外れた音がした。
「リン……誘ってるの?」
「むー?にゃにが?…ねぇレンちゅーは?」
「………リンが悪いからな」「えっ」
そう言い、リンの柔らかい唇にそっと合わせる。
そして、それはすぐに深いキスへと変わっていった。
「……んっ………レッ」
途中激しいキスに、完全に目が覚めたリンが俺の胸を叩いてきたが、そんなの全然痛くない。
「………リン起きた?」
にっこりと笑いながらリンにそう言った。
「れっ、レンのいじわる!」
若干潤目のリンに言われても、可愛いだけだ。
「リン、男は狼なんだよ?そんな無防備な事してると、今度は押し倒すから」
真っ赤になったリンをそこに残しキッチンへ向かおうとして、ふと足を止めた。
「リンさん顔がタコみたいだから、しばらくしてからの方がいいかもね」
「っ!!レンのいじわる!」
これで俺の赤頭巾ちゃんは、少しは自覚してくれたかな?
夕食後
(ちなみに何の夢を見たの?)
(………レンとデートしてる夢……)
(じゃあ、今度デートしようか?その時は最後までやらせてね)
(っ!?なななななっ!!レンのえっち!!!!)