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□告白(バレンタインデー)
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『レンくーん、チョコ貰ってー!!』
『あっ、私も私も!』
『ずるーい!レン君私のもー』
「……はあ」
私は教室の外で壁に体を預けてため息を吐いた。
今日はバレンタインデー。日本全国でチョコが大量に消費される日。
お菓子会社の陰謀とか言われているやつ。それに私も乗ってみたけど。
「渡せない……」
バレンタインデーなんていつもは義理チョコとして渡していたから、意識すると中々渡せない。
世の中の恋する女の子はこんな思いで渡していたのか……と少し尊敬する。
教室の中からはまだ女子の笑い声が聞こえる。
私の幼なじみで片思いの相手でもある鏡音レン(私と同じ名字だ)は正直もてる。
小学校の頃は仲がよかった。一緒に帰るのは当たり前だったし、休みの日とかもよく遊んだ。
でも中学校に入ってからレンは急に身長が伸び始めたし、顔つきはまだ幼いけれど、断然男の子っぽくなった。
元々明るい性格だから女の子にも人気があるし……。ただの幼なじみの私なんて、興味がないに決まっているんだ。
でも私は……好き、という感情に気付いてしまった私には、思いを伝える他にないでしょう?
でも恐いから。拒絶されたらどうしていいかわからないから。
もし幼なじみとしか思われてなかったのなら、笑って――冗談だと笑って。
それでいいの。
私は覚悟を決めて深呼吸をした。
いつのまにか教室は静かになっていて、まだレンがいるかどうか私はばれないようにそっと中を見た。
「あ…れ?」
さっきまでいたはずなのにレンはいなかった。
彼がいた場所にはさっきチョコをあげていた女子たちが話をしているだけだった。
――もしかして、気合いを入れている間に帰った……?
なんて一人で焦っていたら、左手に持っていたチョコがぱっととられた。
「ッ!!」
驚いて振り向くと、さらに驚いた。
「レン!?」
「なんだよ……そんなに驚くもんか?」
だって、てっきりもう帰ったのかと……。
「なっ、なんで後ろにいるの!?」
「ん?いや、リンのリボンがちらっと見えたから。で、何?コレ?バレンタイン?俺にくれるわけ?」
「わっ!?違うから!とにかく返して」
レンの手に納まっているチョコを取ろうと手を伸ばしたけれど、ひょいっとかわされてしまった。
「じゃあ、このチョコ誰にやるんだよ」
「えーっとそれは……」
うーん中々浮かばない……。
「わ……私が食べるの!!!!」
……我ながら馬鹿としか言えないような発言だと思う。穴があったら入りたいくらい。
ああ、きっと私はものすごく赤くなっているだろう。だって顔が熱いんだもの。
「じゃあ、貰ってもいいよな」
「……え?」
するとレンは私に背を向けて言った。
「ホワイトデー楽しみにしておけよ?」
それは一体どう言うことなんでしょうか?
結局、私は何も言えずに終わってしまった……。
とりあえず今は、顔の熱が収まってから帰ることにした。
あとがき
バレンタインなんで書きましたが。
ちょ、なんなの!?
恥ずかしい!!!!
というか文才なくて申し訳ないです……orz
続き
というかホワイトデーネタも書こうと思っておりますので……
幼なじみは大好物ですはいすいません