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□想いを伝えてみる
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放課後一人、校舎の端で待っている人。
私が呼び出したんだけど……。出ていく勇気がなかなか湧いてこない。
彼は学校中の人気者だし、すごくもてる。一方私は地味だし、人前で喋るのは苦手な人間だ。
正直告白も直にではなくて、手紙を書いて渡そうと思っていたけれど、親友のネルに想いを伝えるなら直接言えと諭された。
彼──鏡音レン君は、私と同じクラスで同じ名字。血縁関係はないらしいけれど、何故だかよく似ていて。優しい彼に恋するのは早かった。
頑張って話をしたり、メアド交換したり。口下手な私なりに努力はしたつもり。
それでも、いざ告白となるとしり込みしてしまうのだから、今までの行動は無意味なものに見えてしまう。
本当はわかっている。ただ、今までの彼との関係が崩れるのが恐いだけなのだ。
すぐ近くに彼がいるのに、出ていけないことがもどかしい。
「……待ってくれてるんだよね…」
告白を全て頑なに拒んでいる彼にとっては、とても珍しいことなのである。
たとえ呼び出されたとしても行かないことの方が多いとか。
私はもちろん名前なんて書いていない。下駄箱にそっとメモ用紙を入れておいただけ。
彼が来てくれるとは思っていなかったけど、来てくれてるのに当の本人が来ないだなんて失礼だ。
それに、この気持ちを伝えるって決めたじゃない!
「よ、よし!」
気合いを入れて、彼の待つ場所へと一歩踏み出す。
「か、かかかか鏡音君!!」
「リン」
「えと…………すっ、好きです!!」
言えた!噛んじゃったけど、ちゃんと言えた!
「………で?」
「ふぇ?」
「リンは俺のことが好きで付き合いたいわけ?」
「一緒にいられれば満足だよ?」
「……俺はそれだけじゃ嫌だな」
「えっ……」
もしかしていけるかなと思ったけれど、やっぱり鏡音君は私のことなんて眼中になかったのかな…。
そんなマイナス思考な考えを彼の言葉が遮る。
「一緒にいるのもいいけど、俺はデートだってしたいし手も繋ぎたいし、キスの先までしたいと思うよ?」
「えっえっ!?」
「全部俺のものにするけど、覚悟できるの?……まあ、応えは聞かないよ」
私はもしかしたら、とても危険な人物を好きになってしまったのかもしれない。
「よろしくね、リン」
彼の声には有無を言わさぬ強さが滲み出ていて……。
「は、はいっ」
私ばYES゙としか言えなかった。
これが、惚れた弱みというやつでしょうか?
リンの告白シーン
純粋なリンとそんなリンが好きな腹黒マセレンのつもり
リンから告白させるようにしてるところが腹黒い
続かせる←