short

□想いを伝えてみる
1ページ/1ページ






放課後一人、校舎の端で待っている人。

私が呼び出したんだけど……。出ていく勇気がなかなか湧いてこない。

彼は学校中の人気者だし、すごくもてる。一方私は地味だし、人前で喋るのは苦手な人間だ。

正直告白も直にではなくて、手紙を書いて渡そうと思っていたけれど、親友のネルに想いを伝えるなら直接言えと諭された。

彼──鏡音レン君は、私と同じクラスで同じ名字。血縁関係はないらしいけれど、何故だかよく似ていて。優しい彼に恋するのは早かった。


頑張って話をしたり、メアド交換したり。口下手な私なりに努力はしたつもり。

それでも、いざ告白となるとしり込みしてしまうのだから、今までの行動は無意味なものに見えてしまう。

本当はわかっている。ただ、今までの彼との関係が崩れるのが恐いだけなのだ。


すぐ近くに彼がいるのに、出ていけないことがもどかしい。

「……待ってくれてるんだよね…」

告白を全て頑なに拒んでいる彼にとっては、とても珍しいことなのである。
たとえ呼び出されたとしても行かないことの方が多いとか。


私はもちろん名前なんて書いていない。下駄箱にそっとメモ用紙を入れておいただけ。

彼が来てくれるとは思っていなかったけど、来てくれてるのに当の本人が来ないだなんて失礼だ。

それに、この気持ちを伝えるって決めたじゃない!


「よ、よし!」

気合いを入れて、彼の待つ場所へと一歩踏み出す。


「か、かかかか鏡音君!!」

「リン」

「えと…………すっ、好きです!!」

言えた!噛んじゃったけど、ちゃんと言えた!


「………で?」

「ふぇ?」

「リンは俺のことが好きで付き合いたいわけ?」

「一緒にいられれば満足だよ?」

「……俺はそれだけじゃ嫌だな」

「えっ……」


もしかしていけるかなと思ったけれど、やっぱり鏡音君は私のことなんて眼中になかったのかな…。
そんなマイナス思考な考えを彼の言葉が遮る。

「一緒にいるのもいいけど、俺はデートだってしたいし手も繋ぎたいし、キスの先までしたいと思うよ?」


「えっえっ!?」

「全部俺のものにするけど、覚悟できるの?……まあ、応えは聞かないよ」

私はもしかしたら、とても危険な人物を好きになってしまったのかもしれない。


「よろしくね、リン」


彼の声には有無を言わさぬ強さが滲み出ていて……。


「は、はいっ」


私ばYES゙としか言えなかった。
これが、惚れた弱みというやつでしょうか?









リンの告白シーン
純粋なリンとそんなリンが好きな腹黒マセレンのつもり

リンから告白させるようにしてるところが腹黒い



続かせる←

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ