short
□手を繋いでみる
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想いを伝えてみるの続き的な
「よかったじゃない、おめでとう。あんたが彼氏持ちになるとはね」
朝私の前の席に座って頬杖をつくネルに、昨日の結果を話した。
「よ、喜んでいいのかな」
「アンタねぇ……。あの鏡音レンがOKって言ったんなら、そうなんでしょうがっ!!」
「ネル!声大きいよ…」
正直、昨日のことがまだ夢みたいで実感がわかない。
私は本当に鏡音君の彼女になれたのかな。
「リンおはよう」
「ぴゃあああああ!?」
考え事をしていたので、背後にいた鏡音君に全く気付かず、あまりにも変な悲鳴を上げてしまった。
彼は笑いながら自分の席に座ってしまい、私はただ恥ずかしくて、手で顔を覆っていた。
何事もなく、本当に何かがあるわけでもなく時間がすぎて放課後。
ここまで生きた心地がしなかったのは、授業中感じていた視線だろうか?
ちょうど私の斜め後ろの鏡音君の席の方から、何だか見られているような感じがしていた。
漸く放課後。
今日は帰ってなにをしようか?
なんて、とりとめのないことを考えながら帰り支度をし、ネルを呼ぼうと口を開いたけれど、言葉を発する前に違う声がその行為を邪魔する。
「リン、一緒に帰ろう?」
それは彼、鏡音君の言葉で、やはり有無を言わせぬ何かがある。
それに私たちは恋人同士(?)なのだから、一緒に帰るのがなんだというのだ。
「う、うん!」
ネルにはあとで誤らなければ、と思いつつ、私は鏡音君の後ろ姿を追った。
「何をそんなに緊張してるのさ」
彼の言葉に、自分が緊張していたことに今更ながらに気が付く。
だって今隣にいるのはみんなの憧れの鏡音レンなのだ。
緊張しない方がおかしい。
今だって、ちらちらとこちらを伺う人たちが見える。
そして私はそんな彼の彼女というのだから笑える。
「リン、さ、俺の彼女でいるの嫌じゃない?」
「えっ!?なんで」
いきなりの爆弾投下に心底驚く。私はそんな風に見られる態度をとてしまっただろうか?
「いやさ、なんか浮かない顔しているから、なんとなく」
「ぜっ、全然!むしろ私なんかが彼女でいいのか、ずっと考えてたから」
そう言うと彼は、目を大きく開けて驚いたような顔をしてから、ゆっくりと細めていき、今までで見なかったような、本当に優しい笑顔を向け私の手をとる。
自然と繋がれた手に少しドキドキする。
「これで、恋人同士っぽいでしょ?」
彼がなぜ私を選んだのか、わからないけれど。私は今まで以上に、鏡音君のことを好きになっているのだと思う。
出来れば、ずっとこのまま。
暖かな空気に包まれていたい。
そう、思った。
***
続けてみました
まだ続くかも?