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□好きと言って抱き締めて
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抱き締めるのは好き。
抱き締められるのも。

それがレンなら尚更。

でもレンは、そういうことをしてくれない。
抱き締めるのだって、キスや好きだよって言うのも、全部私から。
レンは本当に私のことが好きなのでしょうか?











「レン、ぎゅってして!」
「はあ?」

直に言えばこんな風に返す、私リンの片割れであり、恋人のレンはその一言で全てを終わらせた。

なんていうの?クールっていうか無愛想。ものすごく。

そのたびに私の心が音を立てて軋むのを、コイツははたして知っているのだろうか?
毎回毎回。レンのその無表情な顔に泣きたくなるけれど、泣いたら嫌われそうで、自分で自分をどうしたらいいのかわからない。わからないよ。

そういえば、恋人、というお互いに特別な関係になる前は、レンとよくじゃれて遊んでいた。

私たちボーカロイドには時間や歳といった概念はあまりないけれど、レンは変わらない私とは違って、最近大人びてきた気がする。


些細なことであんなに笑っていたのに……。なんだか私だけが一人取り残された気分。

「ねぇ、レン…」

レンはわたしの声が聞こえないのか、返事さえしてくれない。

ギシギシ。

嫌な音はどんなに頑張っても止まってくれなくて。今まで堪えていた涙が、溢れだしそうで。

ああ、

「レンは……私が嫌いなんだ…」

ぽつり、と呟いた。そうしたらレンがこちらを見て、さらにおどろいた顔をしていた。

「リ…ン……」
どうしてレンが悲しそうな顔をするのかが、わからなかった。こんな表情も久しぶりに見た気がする。でも、できれば笑っていてほしいな。

レンが頬に触れた。それでわかった。私が泣いていたことに。

「あれ、なんでぇ…?おかしいな」「リン!」

レンの声に体がぴくりと動く。嫌われたら、嫌がられたらどうしよう。そんな負の考えが目まぐるしく私の頭を駆け回る。

「……え」

「そんな顔しないでくれよ……」

「…レ、ン……」

気が付けば、レンが優しく私を抱き締めていてくれて……。いきなりのことについていけない私は、ただただレンを見るばかりで。

「私のこと、嫌いじゃないの?」

「なんでだよ?」

「だって……」
いつも無表情だし。と言えば、レンは少し顔を赤くしながら

「そっ、それはだなぁ!リンの前で格好良くいたいと思って……。あとリンが可愛いから、顔がにやけるのを我慢してたんだよ!」

と、大声で言うものだからつい笑いが込み上げてしまった。

「レン、顔真っ赤!」
「うっせ!」

それから二人して笑いあって、抱き締めあって。

好きだよと言って。好きだよと返されて。

なんだか幸せな気分になれたから、さっきまでの不安な気持ちや、悲しい気持ちは、どこかに吹っ飛んでいってしまったみたい。


今、溢れるのは愛しい貴方を想う気持ちばかりです。












***

物凄くありがちなネタですよねわかります

久しぶりに筆が進みました。

とりあえずネタほしいです←

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