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□白黒の音符、色づけは私
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ただ見えるありきたりな日常。

毎日繰り返される光景に胸を高鳴らせることもない。


雨上がり。

アスファルトの匂いを存分に感じながら歩みを早める。

夕立に降られるのは想定の範囲外で、

今は憎たらしいほどに晴れ渡った赤い空を睨みつけた。

どうせずぶ濡れなのだからと、ふと思い立って目線を水たまりへ。

周りに誰もいないかなんて確認しながらわざと水の中を突き進む。

ちゃぷちゃぷ

じゃばじゃば・・・


私だけしかしらない音楽が広がっていく。

不規則な音符のかたまりが強弱をつけながら散らばっていく。


「何してるんだ?」


声をかけられて振り向いた。

誰もいないことを確認したはずだったのに。

部活帰りのクラスメイトは運動着にエナメルバックを肩にかけたまま。

まさかの人物に声をかけられて一瞬反応に遅れた。

「あ、うん」

呆れたように笑いかけられて

その笑顔が妙に優しげに見えたのはきっと私の見間違いだから。

赤く色づいたのは夕焼けのせいにしておこう。


タイトル:(c)ひよこ屋

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