夢幻
□蝉時雨
1ページ/2ページ
窓を叩く水の音
朝方の静かな空気には不似合いの、不機嫌な音
目だけを動かせば窓の向こうに広がる灰色の空
今日は雨
誰かと一緒に出かけるわけでもない
誰かを待っておめかしする必要もない
フッともう一度目を閉じる
雨音がどこか心地良い
夢の中へもう一度飛び込めば
願った相手が現れてくれるだろうか
もうすぐ夜明けの時間
部屋の中にこもる雨の匂い
全てをもう一度抱き締めて
今日だけの夢を見た
窓の向こうは
寂しげな、蝉の鳴き声だけ
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ