開けてはいけない扉もあるよ?

□噛み痕
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----------------噛み痕



「ったぁっ!!!」

後ろから被さった北山さんは、急に首筋に噛みついてきた。
いやいや、実際痛いんですけど?

「っちょ、なに?ほんとに痛いんですけど?」
「・・・・・・・。」
「ねぇ、あの、聞いてますか?」
「・・・・・・・。」

何も言わずに抱きしめる腕に力がこもる。
拗ねてるの?なんかしましたっけ?



【回想】

「安岡ー。」
「なに?」
「おまえ、北山の様子見て来い。」
「は?何かあったの?」
「北山が作曲部屋から出て来ねぇ。」
「・・・それで?」
「お前見てこい。」

いつもながら村上さんのぶっきら棒には、辟易しますけどね。
それにしたって言葉が足りないでしょ。

「どーいうことよ?」

「いや、あのね。」

黒沢さんが見かねて、助け船を出す。
説明するとこーいうことらしい。

作曲が煮詰まって、二進も三進もいかなくなった北山は、青い顔のまま作曲部屋に入った。
そこからうんともすんとも言わず、丸一日が過ぎたのだという。

「いつのもの北山だったら放っておくんだけど、入る前のあの青い顔を見たらねぇ。」
「どう考えても危ねぇ顔だったな。」

「それで俺に死体確認をしてこいと?」

「勝手に殺すんじゃねぇよ!」
「まぁ、俺たちも心配だからさ。安岡、頼むよ。」

(なんだかんだの恋人でしょ?)

黒沢さんがバチンとウィンクを決めてくる。
それはぜひ違う方に向けてやっていただきたいね。


そんなわけで、部屋にやってきたわけで。
しかしいざ部屋に入る。しかも作曲中。
意外と修羅場なんじゃないか、むしろ修羅場でしかないんじゃ・・・・。
そんな思いも過るわけです。

(だって実際にどんな顔色だったかは知らないし?)
(もし本当にキレてる状態だったらどうするのよ。)
(俺でも抑えきれる自信ないんだけど。)


コンコン-----

「北山ー?」

反応なし

「北山さーん。あの、安岡だけど。入ってもいいかな?」

反応なし、パートU

「もう、入るからねー!」

ドアを開けてみれば、薄暗い部屋に、わかりやすく散らばった譜面。
こりゃ完全に堕ちてるな。
こんな時の彼は極めて面倒、もとい、話が通じない(だから面倒くさい)。

一歩踏み入れて、どこか彼の気配を感じる。
まるで、これから猛獣の折にはいる気分だよ・・・・・。
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