リトルバスターズ

□プロローグ
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分からない。

自分の置かれている状況が分からない。

覚えているのは、家族四人で遊園地に出かけた帰り道の車の中で楽しかった、と喜んでいる妹の顔と運転する父さんの顔と微笑む母さんの顔。

そして、父さんの『伏せろ!!』という叫び声と、『嵩!里奈!!』と必死に後部座席に座る僕達に手を伸ばそうとする母の顔。

僕と里奈は何が起こったのか分からずに、母さんの手を掴もうとして。

ズドン!!といきなり聞こえてきた大きな音と一緒に体が空中に浮いたのを感じた瞬間、体がものすごく痛みを感じて気づけば僕は車の中じゃなく、父さんに抱かれたまま道路に寝ていた。少し離れたところには、同じように母さんに抱かれて目を閉じた里奈も見えた。

嵩「う、うぅ・・・・・。と、うさん・・・・かあ、さん・・・・、里奈・・・・・・」

僕は父さんの手を退かし、動かない父さんの体を揺さぶろうとして、ようやく気づいた。

嵩「・・・・・・・う、ウソ、だ」

少しも動かない父さんの体の至るところから、真っ赤なモノが流れていることに。

嵩「父さん!お父さん!!か、母さん!お父さんが、お父さんが―――」

父さんの体を何度も揺さ振っても、父さんは起きなくて、僕は離れた場所で里奈を抱いたまま瞳を閉じている母さんの方を振り返って、

その二人の体に突き立つように刺さっている長い鉄パイプを見てしまった。

あまりの出来事にしばらく呆然としていると、救急車が近づいてくる音が聞こえてきた。

いつからいたのかは分からない。だけど、周囲の人達からは、『交通事故』や『あの子供だけ助かったのか?』と色々な人達の声も聞こえる。

嵩「事故・・・・・、ウソだ」

信じたくはない。

後ろにみんなで乗っていた車があって、前が玩具みたいにグシャグシャに潰れてて、その前に大きなトラックがあるのなんて、見たくない。

両手で目を覆って、そんな現実から逃げようとしていると、『嵩!!』と聞き覚えのある声が聞こえてきて、僕は手を離して声が聞こえた方に振り返る。

大人達の間をすり抜けるようにして、彼らは僕の所に駆け寄ってきていた。

中でも一番早く大人達の間をすり抜けてきたのは、一人の女の子。

その顔は、今にも泣きそうな顔だった。

僕は泣き顔で走ってくる女の子に向け、手を伸ばしながらゆっくりと地面に倒れ込みながら、彼女の名前を小さく呟いた。

嵩「り・・・・・・ん、」

鈴「嵩ーっ!!」










・リトルバスターズ
 

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