リトルバスターズ
□第六話【最強の女生徒】
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五月十七日。
昼放課になり、いつものように食堂に集まって昼食を食べ終えた僕らは、昼も野球の練習をするということになり、僕、恭介を除く三人は先に野球部の部室に行ってもらった。
謙吾は野球に参加をしないため教室に向かったけど、恭介には話があったので残ってもらったのだ。
恭介「で、話があるって言ってたが・・・・・」
ずずーっとお茶を飲みながら恭介は言った。
嵩「うん。昨日の夜さ、朱鷺戸さんに会ったんだ」
恭介「・・・・・・そうか」
ん?なんか恭介の様子がおかしいような気がする。
まぁ、気のせいだろう。
嵩「それで朱鷺戸さん、僕の事を殺そうとしてきたんだけどさ、その理由が『闇の執行部』やらなんやらって理由でね。恭介、この学校に『闇の執行部』なんてあったの知ってた?」
ピクリ、とわずかにコップを掴んでいる恭介の腕が震えて見えた。
恭介「『闇の執行部』・・・・・か。気をつけろよ、嵩。いくらお前が真人や謙吾より強いと言っても、"お前は『闇の執行部』には勝てない理由がある"。だから、もしお前が『闇の執行部』の標的になった場合は大人しく言う事を聞いておくんだ」
嵩「・・・・・・僕が勝てない理由?」
ああ、と恭介は頷いて、
恭介「奴らは執行するためならば、"どんな手でも使う"」
嵩「まさか・・・・・さすがに人質とかは取らないよね?」
恭介「取らないとは言い切れない。だから気をつけろって言ってるんだ」
嵩「・・・・・」
そんなバカな、と笑い飛ばしたくても、恭介の目が真剣に語っている以上、信じるしかない。
嵩「分かった。恭介がそこまで言うのなら、細心の注意だけは払っておくよ。ありがとね、恭介」
恭介「すまないな、嵩。力になれなくて」
嵩「へ?何言ってるのさ。恭介はいつだって僕と理樹たちの力になってくれてるじゃん」
恭介「・・・・・・」
僕の言葉に、恭介は珍しく顔を顰めた。
なんでそんな顔をするのだろう。
なにか、取り返しのつかない事を恭介が隠していそうで・・・・・不安だ。
僕たちとこの世界を創り、朱鷺戸さんを生み出し、理樹と鈴に試練を与えた、あの恭介が・・・・・。
恭介「本当にすまない・・・・・・嵩」
この時の僕は、恭介のその言葉の意味を何一つ理解していなかった。
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