■文 お題■
□忠実従順さが売りです
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王は、一護は、何も解っちゃいねぇ。
俺が何度アイツを守って来たと思っているんだ。
髪の紅い死神との戦いも、俺が仮面を胸元に仕込んだからそこまで深手にならなくて済んだ筈だ。
戦闘狂の時だって、俺は残月の手伝いまでして協力してやった。
黒い長髪の、ムカつく死神野郎の時だって俺はアイツを助けてやった…まあ、邪魔だと除けられたが。
黒髪の破面と、デカい破面の時だってそうだ。
だが、俺の仮面を下水に捨てるわ、邪魔をするなだの…
挙句出て来るなだの消えろ。
俺に頼れば良いのに、アイツは。
一護が現世で虚と戦っている。
この程度、俺が手を貸すまでもなく終わるだろう。
俺はその様子を腕を組ながら、一護の精神世界で大人しく見守っていた。
多少手ごわい、破面モドキども。
一護の後ろ側からの攻撃に、思わずピクリ、と体が反応をしてしまったが…俺は大人しく待つ。
まるで、主人に待て、命じられた犬のように。
結局、一護は傷一つ負うことなく虚を昇華する。
死神に成り立ての頃は、この程度でも死にそうになっていたのに。
「もっと強くなれ…王よ」
この程度のザコならいい。
が、一護の手に追えなくなった時は…
「何処までやれるか見ててやる」
お前が命を落とすその時は…
お前のプライドをへし折ってでも、俺が守ってやる。
ほら、俺は忠実従順じゃねぇか。
お前が傷つくのを大人しく此処で、見てやってんだからよ。
白い肌に一つ、傷がつく度に…
それを付けた連中を二度と生まれ変わることが無いように消してやりたくなるのに。
END