■文 お題■
□おすわり
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「何してんだ、テメェ」
話は少し前に遡る。
夕食後、満腹感に浸っていた俺。
今日は虚も出ず居たって平和な日で、久しぶりにゆっくり出来た。
一日キッチリ授業に出られるなんて…一体どれくらいぶりだろう。学生の立場としては、この状況はまずいとは思うけどよ。
そんな事を部屋のベッドの上でぼーっと考えていたら、誰かに呼ばれた感じがして精神世界に下りた。
着地と同時に腹に衝撃を受け、吹き飛ばされて仰向けに寝転がる俺。
思いっきり飛んで頭から地面にスライディングをキメてしまった。
10メートル近くは滑ったね。
マジで痛てぇんだけど…どっか擦りむいちまったんじゃねぇか?
あまりの激痛に動けないでいると、その痛みの引かない腹にどっかりと座る男が一人。
この世界には、俺の他に二人しか居ない。
内一人は、もう一人のせいで久しく姿を見ていない。
そうなると、腹に乗っているのは必然的に残る一人。
そのもう一人は、俺の腹に尻を乗せて腕を組み、目線を下に向け…
って見下ろしてんじゃねえよ!
何でそんな嬉しそうにニヤニヤしてんだ!
相変わらず憎たらしい奴だな、テメェは!
さっき聞いただろ、答えろよ。
何してやがるテメェ!
とんでもない仕打ちに、思わず現実世界に返ろうとしたのだが…
全く帰れそうもない。
ならばと渾身の力を込めた眼光で睨んでみたのだが、奴は特に動じる様子もなく一言のたまってくれた。
「おすわり?」
と。