■文 お題■

□忠実従順さが売りです
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「ホンットお前って俺様だよな」



開口一番、俺の王はこう宣ってくれた。



「俺は十分忠実だろうが、王よ」

ガクッ、と体制が崩れそうになるのを何とか堪え、俺は無表情を取り繕った。
だが、俺の王である一護は眉間のシワをさらに深くして言ってきやがる。

「…どこがだ?」



二人の間に沈黙が落ちる。



「ッハ…テメェは何も解っちゃいねぇ」

アイツは俺の有り難みがちっとも解っちゃいねぇ。
そんな一護に、俺は鼻息を荒くした。

「テメェ、忘れたとは言わせねぇぞ…俺の体。乗っ取ろうとしたじゃねぇか」

細かい事を気にする野郎だ。
大体、あれは…

「何が…ハッ!まさかそう言って俺を油断させて、隙をついてこの体を乗っ取ろうって魂胆か!?」

バッ!と残月を構える一護。



…気にくわねぇ。




舌打ちを一つして、俺は黙り込む。

一護を見たまま動かない俺に焦れたのか、一護はしかめ面で、

「じゃあ、またな」

と言って現実世界に帰っていく。

薄れる一護の後ろ姿を、俺は黙って見送った。
そうして今日もまた、学生と死神の二足の草鞋で日々を過ごすのだろう。



自分が傷ついたとしても、護るために。
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