wanna be U
□wanna be U 01
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ヴェールを出たハートの海賊団の船は、順調に次の島へと向かっていた。カンナの母親である王妃の話では、次の島はヴェールと気候のよく似た春島とのこと。
花と色彩の島 ブラウナー
カンナは次の島への到着を心待ちにしていた。
「カンナ〜」
「あ、ベポ」
「キャプテンが探してたよ?」
「あぁ…」
この船に戻ってからと言うもの、ローは必要以上にカンナに干渉している。常に側にくっついていると言っても過言ではない。今だって、ローの一瞬の隙をついてこうして甲板に出てきたのだ。
思わず苦笑をこぼせば、ベポは不思議そうに首を傾げてカンナの隣に座った。
「カンナ…キャプテン、キライ?」
「まさか、大好きだよ?」
寂しそうに首を傾げるベポに、カンナは慌てて否定の言葉を告げる。
「ほんとに?」
「うん。ベポも、好きでしょ?」
「うん!」
「ははっ!ローは幸せだね」
「誰が幸せだって」
不意に聞こえた声に振り返れば、どこか不機嫌そうなローが立っている。カンナはそんなローの表情に苦笑をこぼして、彼の左腕に自分の右腕を絡めた。
「クルーに好かれている船長さんは幸せだよねって」
「どこかの誰かは俺から逃げてばかりのようだが?」
「だって…近寄るとすぐに抱きしめるじゃん」
「悪いかよ」
「他のクルーがいるところではイヤ」
「まぁ、夜になりゃ…」
「わーーーーーっ!!!」
ニヤリと口元を歪めるローの言葉を真っ赤になって遮る。
こんな真っ昼間からこの男は何を言おうとしているんだ!!
「カンナ?」
「ベポ、教育上良くないから船室に入ってなさい」
「え〜?」
「ベポに当たるな」
「誰のせいだ、誰の」
いつの間にかローに抱きしめられ、カンナは諦めたようにため息をついた。しかしローの胸に押し当てたその表情は、隠せないほど幸せそうに微笑んでいる。