Like a KIDding
□Like a KIDding 10
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「だから何でテメーはこう厄介ごとばかり持ってくる!!」
「うるせーよ!目の前にあんなモフモフのモコモコがいたんだ!抱きつかなきゃ失礼だろ!!」
「テメー一回死んでこい!!」
「それが姉に向かって言う言葉か!!」
ギャーギャーと喚きながら大通りを歩くキッドとジュリア。道ゆく人々の視線を全て集めてしまっている。一歩離れて歩くキラーはもう、溜め息しか出てこなかった。
「テメーは船に戻ってろ!!んで降りてくるな!!船長命令だ!!」
「断る!まだチョッパーに抱きついてない!!」
「いい加減学習しろ!!!!!」
懲りない姉に頭が痛くなるキッド。ジュリアと言えば、目を爛々と輝かせて辺りを見回している。次の標的を物色しているのだろう。
そう簡単に行くもんか!
「いたぁぁぁ!!!!!」
というキッドのもくろみは、あっけなく破れてしまった。キッドの腕に絡めた腕をほどき勢いよく駆け出すジュリア。
「うわぁっ!!?な、なんだお前!!」
「はじめまして、チョッパー!突然で悪いんだけど、うちの船に乗らない?」
角の生えたタヌキのような小さな生き物を抱き上げて頬ずりするジュリア。タヌキは目を飛び出してその腕から抜け出そうとしている。
「あぁ〜〜!!やっぱり抱き心地最高!!ぬいぐるみみたい〜〜〜!!!!!」
「ギャー!ルフィー!サンジー!助けてーー!!」
「はぁっ!!なんっ…っって美しいお姉さまなんだぁっ!!」
「なんだ?オメー」
この場に今、いくつのハートマークが飛び交っているのだろう…
だいぶめんどくさくなってきたキッドは、黙ってその場を立ち去りたくなった。