アリスゲーム
□名前を受け継ぐ者
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―貴女にアリスを託すわ
気付けば彼女は見知らぬ部屋で眠っていた。
石で出来た埃まみれの床、所々空いた天井。
―貴女にアリスを託すわ
頭から離れない見知らぬ女性の声。
彼女は起き上がり出口らしき穴を潜る。
太陽の光に目を細め、辺りを見回すと緑豊かな大地が広がっていた。
ふと、何処からか紅茶の匂いがした。
彼女は匂いに誘われる様に古い石で出来た道を歩いた。
「 」
不意に名前を呼ばれた気がして振り替える。
するとそこには一人の青年が立っていた。
彼女は驚いた。青年の頭には紫色の猫の耳がついており尻尾までついている。
「…君は?」
「チェシャ」
チェシャと言う青年は彼女を何度か見回す。
「君は?」
「アリス」
口が勝手に動いた。チェシャはその名前に目を見開き一瞬止まり抱きついた。
「えっ?」
「お帰り僕の主(アリス)。」
そして彼女は"アリス"と成った。
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