アリスゲーム

□名前が繋ぐ旅路
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「本当に帰っちゃうの?」
広場で3時のお茶をすすりながらアリスが問う。それに希緒は笑う。
「何回聞くの?それに私は速く自分の体に帰りたいの?」
希緒の体はアリスのものでアリスの体は希緒のものだった。
「別に私は此でも良いんだけどな。」
何てアリスの冗談に笑っていると、ディーとダムに袖を引っ張られる。
「これ。」
二人の手にはビーズで作ったブレスレットらしきものが。希緒は受け取り早速腕につける。少しブカブカだ。
「ありがとう。」
そう言って頭を撫でると二人は希緒に抱き着いた。
「忘れないで。」
希緒は目を丸くして、優しく微笑んだ。
「行きましょうか。」
アリスに手を引かれ希緒はドアノブのある丘を目指した。

ドアノブの丘にはチェシャが居た。御別れの挨拶をと思いチェシャの前に立ったものの、中々言い出せ無かった。
「帰るんだろ?」
「…うん。」
「そんな顔しないで、希緒。」
「…何で名前を。」
戦いの時もそうだった。希緒はチェシャを見るがチェシャは笑って誤魔化す。ドアノブの所からアリスが準備が出来た事を知らせる。希緒は悲しい顔を振り払い笑顔を向ける。
「さよ…」
「言ったでしょ?僕は何時でも君の傍にいるよ。」
一瞬呆気にとられた希緒は直ぐに笑顔を向けた。
「希緒、さよなら」
「さよなら。」
ディーとダムともう一度強く抱き合う。
「希緒、貴女のお陰で助かったわ。ありがとう。」
アリスも希緒ときつく抱き合う。
「私こそ、此処に来れて良かったよ。」
希緒の笑顔を見ると、アリスはポケットから懐中時計を取り出した。
「また、会えたら。」
光の柱が希緒を包み天高く昇っていった。
「…あの子も帰れたかしら。」
何時の間にかアリスの傍らにチェシャが立っていた。チェシャは微笑む。
「大丈夫だ、ちゃんと帰れたよ。」
「良かった。」
天には二つの柱が輝いていた。
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