中編
□否定と不良
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男鹿辰巳とこの私は家が隣同士だからなのか、昔から彼とは仲がよかった。彼が中学に成り立ての頃、私は1ヶ月くらい外国に行ってたわ、1ヶ月は長かった1ヶ月の間に私は両親を亡くし、中・高・大学を卒業した。それからすぐ日本に戻って来たんだけど、辰巳クンの両親が私の両親が死んだことを知って、私の変わりに泣いてたっけ?私は両親なんてどうでもいいし何とも思わなかったわ。それを知ってか知らずか、辰巳クンったら私に気を使ってよく私の隣にいたわ。不愉快って訳でもないのだけど、ちょっと鬱陶しかったわね
それからずっと私の側にいてくれる私の幼なじみ
別にいてほしい訳でもないのよ?いつの間にか辰巳クンが側にいるのよ
側っていっても部屋に来て居座るだけなんだけどね
「おい、否定姫!」
『そんな怖い顔して何かしら?』
「なんで電話に出ねぇんだ!」
血相を変えて私の部屋に荒々しく入ってきた辰巳クン
心配だからとか、今日はそんなんじゃない。彼は困ったことがあると必ずしも私の所にやってくる
『電話…?あぁ、ごめんなさい気づかなかったわ』
なーんて嘘、気付いていたわよ
辰巳クンの反応がとても面白いから気付かなかった振りをしたのよ。でも、今日はそれどころじゃないわね
何せ彼は厄介なモノを拾ってきてしまったのだから
「魔王を拾っちまった」
そう言う彼の背中から赤ん坊が出てきた
「ダァ!」
『えぇ、知ってるわよ』
「何で知ってんだ?まだ古市にしか言ってないぞ」
『言わなくても分かるわ。だから、説明もいらないわよ』
「よくわかんねぇーけど助かったぜ!説明すんのもめんどうだしな!」
「ダ!」
緑色の髪をした裸の赤ん坊は目つき辺りが辰巳クンとよく似ている。クスリと笑ってれば赤ん坊は辰巳クンから離れて私にしがみついてきた
『えっと、確か名前はベルちゃんでよかったのかしら?』
「だぁっ!」
あら、結構可愛いじゃない
「否定姫!お前こいつの母親代わりになれ!」
『お断りだわ』
「拒否権はねぇ!それにベル坊はお前に懐いてる!!」
「ダァ!」
『嫌よ。あなたが親代わりなんだからあなたが面倒をみなさい』
「うっせぇ!毎度毎度電撃食らう俺の身にもなれ!」
「ダ!」
辰巳クンなら電撃を食らっても死んだりしないから平気よ。そう告げるが、彼は怖い顔をして反論する
「お前も手伝え!」
『まぁ…しなくも、ないわ』
「だぁっ!」
否定は母親代わりになる?
(お前ってやっぱりめんどくせぇ!)
(それなら私の所に来ないでくれないかしら)
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