少女XX
□少女XX
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「それでこの子、なんて名前なの?」
グランの言葉にレーゼは言葉を詰まらせた。
何時だって少女の口から言葉は出てこなかったし、名前なんて聞く事すら出来なかった。
レーゼが沈黙を通せば、グランはそれをまだ知らない、聞いていないなどと解釈した。
グランは少女に視線を合わせると言った。
「君の名前は?」
しかし少女の返事はない。
凄くシャイなのかと思えば、格好的に違うらしい。
「言葉が話せないらいしです。」
レーゼが言えばグランは少女からレーゼに視線を移した。
「失語症?」
「いえ、話せるのは動物の言葉だけです。」
「つまり人間の言葉を話せないんだね。」
グランはそう言うと何かを考え出した。
勿論レーゼにグランの考えを予測することは不可能。
「なら俺がこの子に言葉を教えるよ。」
やはり出てきた言葉は予想外の事で。
「それはジェネシスの座を狙うキャプテンのすることじゃありません!」
「その逆だよ。点数稼ぎするんだ。実力があるだけじゃなく、他者に知識を与える余裕がある。良いことじゃないか。それになんの才能もない子を父さんがここに置く許可なんてする筈ないだろ?」
グランは少女をチラリと見ながら言った。
計画的で、腹黒い思考だ。
「そう、ですね...。」
レーゼは失いそうになった言葉を無理矢理口から出した。
「俺今から練習だから、またね。」
グランはそう言って部屋から出て行った。
レーゼはこれからの苦労と憂鬱を考え、溜め息を再び吐いた。
無知な猫を拾った
(無知と言うのは、)
(非常に面倒だ。)
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