思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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敢えて触れないのか、まったく知らないのか。

脳死を夢見てとかいっても私は脳死とか勘弁してほしいんですがね。

「取り合えず4冊渡しておきます」

泉は一度立ち上がると病室の外を覗いた。

こちらに向かって歩いてくる剣城君らしき姿を確認。

直ぐに首をひっこめた。

隠れる場所はないかときょろきょろ病室を見回すが、隠れるような場所はあまりない。

カーテンみたいな奴の影かベッド以外見つからない。

カーテンの方は足見えちゃうし、触れた瞬間にバレる。

「どうしたの?」

「剣城君が来てしまったので隠れる場所を探しているのです」

私は窓の側により、窓を開けた。

下を見れば高い高い、地面が遠い。

というかコンクリ。

多分飛び降りたら骨折する。

いや骨折で済むならまだまマシかもしれない。

絶対これは死ぬ。

スタントマンじゃなきゃ死ぬ。

でもここは病院だから直ぐに集中治療室へ行ってなんとかしてもらえるかも…、やっぱ痛いのは嫌だ。

直ぐに窓を閉める。

剣城君が病室につくまであと8秒くらい。

「ゆっちー!ベッドの下を借ります!」

慌てて床に膝をつき、下に潜ろうとするが、ゆっちーがそれを止める。

な、何故止めるんだゆっちー!

「ベッドの下は汚いよ」

「じ、じゃあどこに隠れろと!?」

慌てているので敬語が間に合わない。

間に合わないのは隠れる事の方だが。

「下じゃなくて中は?」

「いいんですか!?」

とか聞きながらもちゃっかりベッドの中に潜り込む。

なるべくベッドが平らになる様にゆっちーの傍に寄りながら体を伸ばす。

ベッドあったかいなーなんて他人事のような事を考え現実逃避をして心拍の加速を押さえようとするが、大した効果はみられない。

足音と同時に剣城君の声。

「兄さん」

「京介、今日も来たのか」

うつ伏せになっている為、心臓の音が耳鳴りの様に聞こえる。

お腹の中に心臓があるみたいに、お腹が振動する。



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