思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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再びの化身シュートに蘭丸君が身を呈して止めようとするが、勢いが止まらない。

それを狩屋君が支える。

みんなでゴールを守る様なやり方じゃ、やっぱり勝てないかな…。

影山君が松風君を頼って指示を待つ。

ゴール前までに相手のGkである千宮寺が上がってきた。

そして放たれる化身シュートを松風君が止めると言ったが、勢いは止まられなかった。

浜野君や速水君が身を呈しても勢いは殺しきれない。

最後の砦である西園君が化身を出そうとするが、化身を出す力もなくなっていき、そのままゴールが決まる。

ああ、またみんな傷付いて、ゴールまで決まってしまった。

これで4対2で、負けてしまっている。

勝つためにはあと最低3点は取らなくてはならなくなってしまった。

そんな絶望的状況。

雷門では誰ひとり立つ事が出来ないでいた。

「やっぱり、ダメだったか…」

諦めに近い言葉が私の口から洩れる。

いい方法が思いつかない自分が不甲斐ない。

自分が男で化身使いならなんとかできただろうかなんて思ってしまった。

叶わない願いだというのに。

ゲームとか得意なはずなのに、見てきたアニメの知識がどうにもならない。

これは、目の前の試合は二次元なんかじゃなくて、現実で。

私がどうこう出来る様な事じゃないし、技とか、そう言うのは私の許容範囲を超えていた。

不意に二次元が恋しくなった。

いよいよ本格的に現実逃避し始めたらしい。

…いつの間にか私は現実逃避する程サッカーに入れ込んでしまったらしい。

全く恐ろしいものだ、サッカーは。

「相手が疲労を待つだけじゃダメだ」

そうだ、そう言えばあの特訓の成果はどうなったんだろうか。

松風君は遂に涙を流してしまった。

「天馬ー!」

聞こえるはずもない声が聞こえた気がした。

「松風天馬ー!!」

やっぱり聞き間違えじゃなかった。

拓人君だ。

え、どうしてここにいるの、拓人君。

絶対安静じゃないの…?

「これが、お前のやりたかったサッカーか?」

円堂監督に言われて周りを見回す松風君。

「俺のやりたかった…」

みんな疲れ切っていた。

だけどまだ諦めてない。

だってみんな松風君を信じてるから。

だからその信じてる心を裏切っちゃダメなんだ。



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