不浄の華は絶闇で毒を孕む
□不浄の華は絶闇で毒を孕む
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「円堂君のおじいさん...大介さんは生きているかもしれない」
夏未は俺を呼び出して言った。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
心の中で四度呟かれた言葉は音になる事はなく。
「じいちゃんが、生きている...?」
嬉しい筈なのに、信じられなかった。
裏切られた様な気分だった。
だが遺灰のない墓を思い出せば納得がいく。
俺がじいちゃんの字を見間違える筈がない。
じいちゃんは生きている。
だけどやっぱり今更生きていると言われても困る。
この憎しみは何処に向ければいい?
言い表しようのない、どうしようもない怒りが沸々と湧きあがっていく。
復讐のために俺は今まで多くを犠牲にしてきた。
それを今更否定されるのは困る。
夏未の言葉がグルグルと頭の中を回って行く。
生きている、生きている...生きている?
理不尽だと分かっていながらも、俺はこの怒りをじいちゃんに、大介さんに向けることにした。
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