散らせ散らせ、悪の華
□散らせ散らせ、悪の華
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「私達親友でしょ?誤魔化さないでよ。」
悲しげに伏せられた睫毛。
『...最近眠れないんだよねー。』
杭弥はヘラっといつもの軽い調子で言ってみる。
「不眠症の原因はストレスが原因かもよ?」
『ストレス、か...。』
ポツリと独り言のように呟いた。
浮かぶのは夢に出てくる少年と泣き声と助けを求める声。
それから得体の知れない闇。
「思い当たる節でも?」
『ストレスかどうかは分からないけど、変な夢見るんだよねー。』
「変な夢?」
『そ、変な夢。』
それ以降杭弥は語らなかった。
「ねぇ、放課後一緒にケーキ食べに行かない?駅の近くに新しく出来たの!甘い物食べて、ストレス解消しよ?」
私は沙織に近くのお店に新しくケーキ屋が出来たからと誘われた。
甘いものは好きだし、沙織の誘いを私が断るはずもなく。
『ん、いいよ。』
「良かった!私あのお店行きたかったんだよね!そこでもう一つお願いなんだけど...、あのお店、カップル限定なの...。だから...、」
少し恥ずかしそうに視線を逸らした沙織。
ホント、女の子って最高。
『それは、デートのお誘い?』
なんて冗談混じりに笑って見せた。
「...うん。」
紛い物の彼氏でも嬉しいよ。
それが日常
(出来る事なら、)
(男になりたい。)
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