散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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一瞬とも永遠とも言える苦しみが終われば肉体の冷えを感じた。


寒っという言葉と同時に一番傍で聞こえた赤子の声。


暖かい女の人の声が聞こえた刹那、温もりが消えた。


「ナルトっ!!」


先ほどの声。


ナルトと言う名前。


ナルトと言えば某忍者らしくない少年漫画の主人公を連想させる。


え、まさかと思ったが...、そんなバカな。


ナンセンスだよ、有り得ない有り得ない有り得ない。


心の中で否定せども本能的に理解した。


私がナルトだと。


私はナルトに成り代わったのだと。


泣きたくなった。


いや、最早泣き喚いた。


「動くな、動けばこのガキは死ぬ。」


近場に聞こえた低い男の声。


本能的に感じた身の危険。


恐怖に思わず声が漏れた。


違う意味で更に泣く。


早速死亡フラグたってる。


視界は0だが聴覚と嗅覚、触覚はある。


味覚はまだ何も食してないので分からない。


「っ、ナルトを返してっ!!」


愛する母クシナの呼ぶ声。


クシナの顔は見えないが、ひどく辛そうなのは声色で分かった。


私はある限りの力で暴れてやる。


所詮赤子の抵抗なんて高が知れている。


それでも抵抗せずには居られないんだ。









輪廻転生



(お母さん、お母さん!!)


(足手まといでごめんなさい。)








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