散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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拝啓、親愛なるあの世にいるお父さん、お母さん。


私は5歳になりました。


そして私は現在外にいます。


言葉はワザと舌足らずにしてます。


歩行は少し辿々しく。


完璧な5歳児...いや、5歳児の完璧な演技だと思う。


比べる人がなかなかいないので世話係の彼女がいない間に窓から外を覗いて同年代の子供の行動を頑張って観察しましたとも!


やっぱり忍者と言うこともあって身が軽かった。


そんな現実逃避も虚しく、目の前には老若男女様々な年代の人間が。


向けられる視線は冷たかったり、憎しみや怒りがこもっていたり...兎に角決していい視線ではなかった。


目の前に男の足が見えたかと思うとすぐに腹部に衝撃が来て。


『っ!!』


成人男性の蹴りは5歳になった子供が受けるには強すぎるし、受け流せる程技術や経験がある訳ではなかった。


腹部の衝撃に一瞬呼吸が止まる。


力に逆らえずに地面に体を打ち付けた。


嗚咽混じりに咳と浅い呼吸をを繰り返し、生理的に滲み出てきた涙を拭う事をせずに蹴ってきた男を睨む。


幼児虐待で訴えてやるなんて珍しく子供の肩を持つ。


それもそうだ。


自分自身に被害が来ているのだから。


肘から掌にかけて腕擦りむき、紅い血液が滲み出て痛いが対して気にならない。


「なんだその目は!」


再び衝撃が来る。


人間の条件反射で目を瞑り、歯を食いしばった。


それを境に暴言暴力の嵐。


「生意気なガキめ!早く死ねばいいものを。」


「化け狐め!」


抵抗なんて無意味だった。


抵抗は無駄な徒労に終わり、無駄に怒りを買うだけだった。







ああ、なんて愚かな



(蹴落とされ殴られて雨に打たれ泣いて崩れ落ちて、)


(渇く喉で叫んでも戦えなくて。)








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