散らせ散らせ、悪の華
□散らせ散らせ、悪の華
1ページ/1ページ
飽きればポイッと捨てられた恋人のように、私は一人取り残された。
地面に横たわっている肉体はなかなか動かそうとは思えなかった。
紅い血が擦り傷や切り傷などから出ていたが、血の乾きは水よりも速いので傷口では血が赤黒かったり褐色に変色し、乾いていた。
所々に青い痣もあった。
肋骨が折れていた。
臓器が傷ついていた。
しかし赤と青の対照的な色のコントラストが美しいとも思えてしまった。
『ハッ、フフフ...アハハハ!』
笑うにも腹部の痛みに襲われた。
周りから見れば痛みのあまり、狂ったのかと思われるだろう。
だが笑わずにはいられなかった。
滑稽であまりにも馬鹿馬鹿しかった。
いい大人が虐めなんてカッコ悪い。
杭弥は彼らの瞳を思い出す。
恐怖、怒り、憎悪、軽蔑、悲しみ、不安.嫌悪..、
あげればきりがなかった。
何故嫌われているかは化け狐と呼ばれる事と関係があるのだろう。
『化け狐、かぁ...。』
杭弥は口元を吊り上げ、自嘲の笑みを浮かべ、目を瞑った。
笑わせるな
(生きることを否定され幾度死のうと決意していても、)
(這い上がって繰り返し願い叫ぶ。)
.