散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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気が付けば私はあの暗闇の中にいた。


生前見た最期の夢と同じ場所なんだと思う。


そして杭弥自身の姿もまた生前のものだった。


緋色の髪に翡翠の双眸。


目の前に小さな子供が眠っていた。


金色の髪の少年と言うには幼い子供だった。


瞳の色は眠っているため見ることはできない。


直感的に思った。


彼がこの肉体本来の持ち主で私が起こさなければならない存在だと。


今まで知らなかったとはいえ、ナルトの肉体をずっと占領していたのは些か申し訳ない。


でも、もしナルトがナルト自身の肉体を今使うならばきっと辛い思いをしたろう。


身に覚えのない憎しみをぶつけられ、恐怖し、困惑するに違いない。


杭弥はナルトのすぐ傍に膝を着いて彼の金色の髪に触れた。


意外と柔らかい毛...。


子供なんて嫌いなのに...、いつも子供を見る度思うのに自然とこの子供を撫でる自分に驚いてしまう。


杭弥はハッとし、本来の目的を達成する為に口を開いた。


『ねぇ、目を覚まして?』


「んぅ...、」


鼻から漏れた息に泣かれるのではないかと不安になったが、どうやらそうではないらしい。


ゆっくりと瞳を開けたナルトは右手で目を擦りながら起き上がった。


ぼぅっとした様子で空色の瞳が杭弥を見上げてくる。


「だれ?」


舌足らずながら話しかけてくる。


『私は杭弥。』


「おれはナルトだってばよ。」


これが私たちのファーストコンタクト。







罪と罰



(初めまして、)


(英雄の生贄。)








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