散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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しかしピリッと薄い左腕の皮膚が裂け、そこから血液が流れ出るのを感じた。


―――杭弥!


脳に直接響くナルトの声。


どこか心地よい。


―――大丈夫だよ。


杭弥は包丁を持っている男を見た。


包丁を持った男は荒く浅い呼吸を繰り返し、青い顔をしていた。


動きからただの人間だと分かった。


いや、武器が包丁というので忍でないことは確かだった。


他の人間がただの人間かは分からないが。


『騎士(ナイト)ならいるよ、ここにね。』


「はぁ?お前以外誰もいねぇーよ。」


そう、杭弥しかいない。


杭弥しか。


彼にとって今の杭弥は単なる化け狐のナルトにしか見えていない為、ナルトしかいないと解釈する。


『お仕置きの時間だよ。』


気怠げに、そしてどこか楽しそうな笑みを浮かべ、自分の姿を具象化する為の言霊を唱えた。


『"我は罰。悪しき華の十字架を以て其の身を現とする。"』


言霊が言い終えると同時に緋色の髪の女が現れた。


杭弥が肉体から出たことで主導権がナルトに戻る。


どうせすでに見られてしまったんだ。


今更隠したって後で聞かれるに決まっている。


しかし今はそんな事考える余裕はない。


「杭弥!」


名前を呼ばれれた先には穢れを知らない空色の瞳。


『ナルトにはまだ早い。ここからは有料でR指定だよ。"眠れ。"』


つん、と指先で額をつついてやればふらりと倒れるナルト。




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