散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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昨晩の事件がすっかり過ぎ去っり、ナルトが目を覚ましたのは昼だった。


ナルトはボーっとした様子で部屋を見ていた。


そして不意に脳裏に蘇る昨晩の事。


途端に目が覚め、恐怖が体を支配する。


しかしもしかしたら昨晩の出来事は夢ではないのかと。


傷があるはずの左腕は皮膚はちゃんと繋がっていた。


夢かと思えばそうとは限らない。


昔から(と言っても5年と半年くらいしか生きていないのだが)殆どの傷は一晩寝れば治っていたではないか。


そして昨晩の出来事を裏付けるものに気付いた。


着ていた白いTシャツの左袖が少し切れていて、そこに褐色が付いていた。


酸化により血が変色したものだった。


夢じゃない、現実だった。


あの時気を失ってしまい、あの後どうなったかは知らない。


そうだ、杭弥は!


思いたったらすぐ行動とい事もあり、ナルトは口に出さなくてもいい杭弥の名前を口に出して呼んだ。


「杭弥!杭弥っ!!」


―――あのさ、ナルト。口に出さなくても私返事するからね。


ちゃんと返って来た杭弥の声にナルトは安堵した。


―――どうしたの?


―――杭弥が、いなくなったかとおもったんだってばよ...。


ああ、なかなか可愛い事言ってくれるじゃないか。


―――私が簡単にやられるなんて有り得ないでしょ。


そう言って杭弥は笑った。


不死が死ぬなんて、それこそ有り得ないでしょ?


―――なんでおれはねらわれてるんだってばよ?


ついにきた、この質問。


いつかはくると分かっていたが、実際どう答えればいいか分からない。


真実を伝えてはいけないからだ。





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