散らせ散らせ、悪の華
□散らせ散らせ、悪の華
1ページ/2ページ
昨晩の事件がすっかり過ぎ去っり、ナルトが目を覚ましたのは昼だった。
ナルトはボーっとした様子で部屋を見ていた。
そして不意に脳裏に蘇る昨晩の事。
途端に目が覚め、恐怖が体を支配する。
しかしもしかしたら昨晩の出来事は夢ではないのかと。
傷があるはずの左腕は皮膚はちゃんと繋がっていた。
夢かと思えばそうとは限らない。
昔から(と言っても5年と半年くらいしか生きていないのだが)殆どの傷は一晩寝れば治っていたではないか。
そして昨晩の出来事を裏付けるものに気付いた。
着ていた白いTシャツの左袖が少し切れていて、そこに褐色が付いていた。
酸化により血が変色したものだった。
夢じゃない、現実だった。
あの時気を失ってしまい、あの後どうなったかは知らない。
そうだ、杭弥は!
思いたったらすぐ行動とい事もあり、ナルトは口に出さなくてもいい杭弥の名前を口に出して呼んだ。
「杭弥!杭弥っ!!」
―――あのさ、ナルト。口に出さなくても私返事するからね。
ちゃんと返って来た杭弥の声にナルトは安堵した。
―――どうしたの?
―――杭弥が、いなくなったかとおもったんだってばよ...。
ああ、なかなか可愛い事言ってくれるじゃないか。
―――私が簡単にやられるなんて有り得ないでしょ。
そう言って杭弥は笑った。
不死が死ぬなんて、それこそ有り得ないでしょ?
―――なんでおれはねらわれてるんだってばよ?
ついにきた、この質問。
いつかはくると分かっていたが、実際どう答えればいいか分からない。
真実を伝えてはいけないからだ。
.