散らせ散らせ、悪の華

□散らせ散らせ、悪の華
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目の前には三代目、そしてナルトの隣には何故かうちは一族の青年がいた(いや、理由なんて分かっているが)。


「なんででだってばよ!?じっちゃんのうそつき!!ひとりぐらししていいっていったじゃんかよっ!!」


ナルトは不機嫌そうに頬を膨らまし...なんて可愛いものじゃない。


もっと心底怒っているような顔だ。


ナルトがこうして我が儘になるのも分かる。


私がナルトの体で酷い仕打ちを受けているのを知ってしまったのだから、ナルトにとって里の人間など物心付いた頃から共に生きてきた杭弥を傷付ける悪い奴等しか思えない。


子供と言うものはそういうものだ。


一番最初に知った情報を最も信じる。


しかし最初の情報を否定されればそれを信じたくなくて多くが困惑する。


転じて最初の情報を否定するのが最も信頼の置ける人物によるものなら素直に信じてしまうものだ。


ナルトもまたその子供と同じで、里の人間に接触させなかった所為で実際の事を知った時の隔たりは大きく、ひどく憤りを感じさせるものだった。


杭弥への里の人間がしてきた事、そして何も知らなかった自分への怒り。


まだ幼いナルトが抱えるには大きすぎる問題だった。


「お前さんは直ぐに問題起こすからの。護衛と世話役をつけるんじゃ。」


それを聞いても勿論ナルトにとっては邪魔者以外の何者でもない。


何しろやっと杭弥の存在を現実で確かめて、触れ合う事がやっと可能になって来たのだから。


これ以上杭弥との時間を潰されては困るのだろう。


「おれはごえいもせわやくもいらないってばよ!」


ナルトの我が儘はともかく。


三代目がうちはイタチを選んだのには理由があった。


うちはという一族の柵にも捕らわれず、平和の為にその身を犠牲にできる男。


ならばきっと九尾の人柱力であるナルト相手でも平常心を保っていられるであろう。


そして写輪眼を既に開眼していると言う事もあり、多少なら九尾をコントロール出来る可能性があると考えたからである。


そしてもしかしたらあの緋色の女がまた現れると考えたからであろう、緋色の女の実力が一般人よりも上と言う事で実力者のうちはイタチを使って捕らえようと考えた。


「とにかくおれはごえいもせわやくもいらないってばよっ!!」


ナルトは言葉を言い切ると三代目の言葉を無視して火影室を出て乱暴に扉を閉めた。








護衛も世話役もいらない



(ごえいとかせわやくがいたら杭弥にあえなくなっちゃうってばよ...。)


(何可愛い事言ってるの?)








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