思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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入学式私はいつもと変わらない時間に起きて、家族で朝食を食べた。

正直2年生の自覚はあまりない。

きっとこれからも多分そう。

部活に入っていないから先輩と呼べるような人はいないのだ。

そして後輩と呼べるような人もまたいないのだろう。

私はそうして人を避けて、人に避けられて生きていくのだから。

いつもなら遅刻ギリギリになるように学校に向かうのだが、今日は少し早めに家を出て、学校に向かった。

桜の花びらが風に揺られていて、とてもきれいだと思った。

「聞いたか?サッカー棟でサッカー部が大変なことになってるらしいぞ!」

「ああ聞いた聞いた!試合になってるらしいぞ!」

入学式前なのに元気だね。

いや、入学式だから元気なのか。

サッカー部…拓人君と蘭丸君…。

行って、みようかな…。

あ、でも去年行った時に怒られちゃったしなぁ…何が気に入らなかったか分からないけど…。

取り合えずあの時はショックで1週間拓人君避けちゃったわ。

私は恐る恐るサッカー棟の方へと向かった。

グラウンドに目を移せばとんでもないことになっていた。

なんだこれ、道場破り?

でもサッカーの道場破りなんて聞いた事が無い。

それは多分私が関わらないようにしていたからだと思うが。

幼馴染の二人のチーム、雷門イレブンが対峙するのはなんかよく分らない、ちょっとおしゃれなデザインのユニフォームを着た10人。

その中心にひとり、独特の学ランの少年がいた。

少年が背を向け、他の10人と共に去っていく。

結局それがどういう事なのか分からなかった。

分かったのは圧倒的力の差があったという事。

倒れる幼馴染の姿。

「た、拓人君!?」

倒れるってどんな無理をしたんだ、私拓人君が倒れるの見た事無いよ。

気絶した拓人君をお姫様だっこした監督と音無先生と蘭丸君がこちらに歩いてくるのが見えた。

監督ダンディだからお姫様だっこも様になってるよね。

拓人君は男の娘だからまったく違和感ない。

音無先生と蘭丸君はお付きの人みたいだ。

私は階段を駆け降り(階段から突き落とされた経験からか手すりないと駆け下りれないから実質踏みしめるように階段を一段一段降りているのだが、私にとっては駆け降りているつもりだ)、蘭丸君の元へ駆け寄る。

「泉!」

驚いた顔で私を見る蘭丸君。

私がサッカー棟に来るのは珍しいもんね。

基本私接触禁止令出されてるもんね。

「大丈夫!?」




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