思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
2ﾍﾟｰｼﾞ/3ﾍﾟｰｼﾞ
今のはパスじゃない、シュートだ。
フォローしようのないアホなのか。
剣城君はアホでございますか？
あれはワザとだ。
でも何故？
え、もしかして雷門サッカー部を潰すってこういうことだったの！？
私てっきり殴り合いの喧嘩的なのを考えていたよ。
え、だって不良だよ？
男同士の拳という名の魂のぶつかり合いじゃなかったの？
あーあ、ここからじゃ何にも聞こえないや。
どうせなら盗聴器とかが欲しいなー。
例えば髪ゴムとかにつけられないかな？
髪ゴムの時点でターゲットが蘭丸君に確定したね。
まぁ、そんなお金はないけどね。
目の前でせわしなく動くボール。
どう見てもワザと当てているようにしか見えない。
立っているのは剣城君だけだ。
…やっぱり悪い人、なのかな…？
でもここは敢えて二重スパイとか厨二乙な設定だと妄想してるよ！
みんな大丈夫かな…？
ぼんやりと傷付いていくメンバーを見ながら思った。
剣城君の言う傷付く姿を見せてやるっていうのはこういう事なんだね。
…私に宣言したから傷付けているのだろうか…？
それはなんだか申し訳ない。
私なんぞの為に態々証明するなんて…本当に恐れ多いですね。
とか悲劇のヒロインぶるのもなんだか滑稽だと思う。
ひとり立ち上がった、8を背負う少年。
あの子…剣城君を探してサッカー部に行った時私より早く辿りついていた練習熱心な子の片割れだ…。
だが再びボールを当てられ、倒れ、また立ち上がる。
なんて根性なんだ。
私も、ああやって立ち向かえるように、真正面から向き合えるようになれたらいいな。
なんて夢物語も甚だしいな。
私があんな風になれる訳ないじゃないか。
…そうやってなんでもかんでも諦めるのは私の悪い癖。
剣城君が高く跳び、8を背負う彼にぶつけた。
今の凄く痛そう…。
なのに立ち上がる。
ああ、見てられない。
何がって、人が傷付くのとか。
いや、そうじゃない。
剣城君が人を傷つけるのを見たくないんだ。
.