思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
1ページ/2ページ





私は悩みに悩んだ結果、優一さんを訪ねた。

この病院大きいから分からんよ。

仕方なく受け付けで優一さんの病室を教えてもらった。

315号室、315号室、315号室…、

病室の前まで来て剣城君が来ていないか、一応確認の為少し聞き耳を立ててみる。

うん、声はしない。

周りを見回し、剣城君らしき姿が無いのを確認した。

右よし、左よし、行ってよし!

泉、行きまーすっ!

勇気を振り絞り、ノックをして許可を貰ってから病室に足を踏み入れた。

「こんにちは」

優一さんはベッドの上で本を読んでいた。

優一さんは私に気付くと、本に栞を挟み、すぐ脇に置いた。

「織武さん、こんにちは」

優一さんは柔らかく笑った。

うぉう、笑顔が素敵だ。

こう、何だろ、和む…?

「名前覚えていてくれたんですね…嬉しいです」

自然と私も笑みが漏れる。

「本読んでいたんですか?」

「もう読み終わっちゃいそうなんだけどね」

「今度私お勧めの本持ってきますね!」

私は自分の持っている本のタイトルをずらりと脳内で並べた。

…待って、私の持っている本ほとんどライトノベルとかマンガとかばっかりだ。

もっとまともな本はないか記憶を探してみるが、そういう本は最近購入した覚えがない。

でも多分部屋を探せばある筈だ。

例えば、平家物語とか…。

私の本のチョイスが変だとかよく言われる。

だってなんか作品の作者が既にお亡くなりになられているパターンの歴史的な本とかが多いもんね、うん。

ああ、そうそう、サッカー雑誌もね。

「優一さんどこのサッカー雑誌が好きですか?私買ってきますよ!」

「いや、それは京介が買ってくるから大丈夫だよ」

「そうですか…。あ、剣城君には私が来た事とか話した内容とか内緒にして下さいね!私が来たって言うと嫉妬しちゃいますから!」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ