思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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今日も優一さんの所へ行きます。

ええ、暇人ですが何か?

大丈夫です、手土産ちゃんと持って行きますから。

え、フルーツ盛り合わせじゃないですよ?

あれ高いですからね。

3000円くらいしますからね。

中学生のお小遣いじゃ厳し過ぎます。

財布が購入時の状態に戻ります。

初期設定にはしたくないです。

前回の様に周りを確認し、病室に聞き耳を立てる。

よし、いない。

それを確認し、病室に入る。

「こんにちは、ゆっちー」

心の中ではずっと優一さんと呼んでいたので全く慣れない。

「泉ちゃん、こんにちは」

お互いになれない呼び方で挨拶し、泉は傍にあった椅子に座る。

「脚の調子はどうですか?痛みます?」

「いや、今日はそんなに痛まないよ」

「それは良かったです」

よかった?

なんだかバカにしているみたいで嫌だ、この言い方。

気分を変える様に、鞄を膝の上で開ける。

「今日はですね、約束通りお土産に本を持ってきました!」

私は鞄から4冊の本を出した。

「どちらがお好みですか?普通の本とラノベですが」

「ラノベ?」

優一さんことゆっちーは不思議そうな顔をした。

「ラノベとはライトノベルの略で、ティーン向けの小説なんです!取り敢えずマジキチとヒトラーの言い訳がお勧めなんですがね!」

はい、両方私がタイトルでホイホイされちゃった奴ですがなにか?

マジキチに関してはタイトルからして明らかに怪しい。

内容もちょっとあれだ、うん。

マジキチな女の子とその辺にいる普通の男の子の学園物語だ。

ヒトラーの言い訳なんてタイトルだが、ヒトラー教科書に出てくるようなヒトラーはいない(暴君な主人公ならいるが)。

ただちょっと過激な表現がある。

タイトルの意味が分かるのは3巻あたりだ。

ユダヤ人を把握できないといったヒトラーの言葉を借りて君を把握できないなんて言ってちょっとラブコメっぽかったのが萌えた。

ラノベ以外の残りの2冊は27人の処女と脳死を夢見てだ。

タイトル通りヘビーな世界だ。

変なタイトルのものが結構私は好きだ。

だが優一さんは何の躊躇いもなく受け取ってくれた。




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