思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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かけてみる?

いやいや、知らない人に電話かけるの結構勇気いるよね、うん。

よし、非通知でかけようと思う。

覚えた番号の前に非通知になる数字を入力していつでも準備完了。

あとは発信ボタンを押すだけ。

私は一度ドアの方に視線をやり、誰もいない事を確認する。

画面をもう一度見て、深呼吸。

うう、抵抗あるなぁ...。

かっとビングだ、私!

ハッスルする、略してハッする!なんてね!

えい、と小さく掛け声で自分を勇気づけて発信ボタンを押してみた。

お、押してしまった。

慌てて耳に押し当てる。

プププ、と通信の機械音がやがてプルルルルとコールする音に変わる。

ヤバイ、緊張してきた。

あ、ボイスチェンジャーかなんか欲しくなってきた。

そういえば散らばったレポートの事を思い出し、肩と耳で携帯を挟みながらレポートを拾い上げていく。

電話越しにはい、と低い男の声が聞こえてきた。

「もしもし、黒木さんの携帯でしょうか?」

冷静に、なるべく声が震えないように言う。

『どなたですか』

自分が黒木かどうかすら明かさない辺り怪しい。

いや、私を怪しんでいるに決まっている。

「それでは剣城君とどういうご関係か教えていただければ私が誰か教えましょう」

そう言えば、レポートをまとめて置くよりも早くぶちりと電話を切られてしまった。

くっ...!

しくったか!

そうだね、向こうには何もメリット提示してなかったもんね!

私が誰かとか興味ないですよね。

くっ、私は顔も知らない男からもバクテリアと同じ扱いですかくそう。

どうせならネットで電話番号晒しますとかの方がよかったか...!

私は携帯を閉じてポケットに仕舞った。

きっと今日の占いは最下位の運の悪さ。

いや、もしかしたら占いで1位だったから、そこに全て運勢を使ちゃったパターンかも。

どっちにしろ私はツイてない女だという事だ。

レポートも並べてしまえばもうあとは助けが来るまで暇だ。





痛電


(コレ先生に報告したら私は3倍返しか…。)

(ホワイトデーにそれはいいけど嫌がらせがそうなるとか辛すぎる。)




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