思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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家に帰ろうと歩いていた。

そう歩いていたのだ。

そして私は何の変化もなく、昨日と同じ様に帰れるのだと信じきっていた。

だがそうではないらしい。

私は怪しい黒の車に追いかけられている。

不審車だ。

絶対不審車だ。

だって私の歩調に合わせてついてくるもん。

露出狂に会った(いや、この場合遭ったかな)事もあるけどさ。

いくらなんでもこれはないわ。

もっと上手くストーキング出来ないのかな。

ストーキングなら私の方が上手いから伝授してあげたい。

いや、やっぱりあのくらいにあからさまな方が怖くないからいいや。

私はポケットの中の携帯に手を伸ばし、操作し出す。

私の携帯はスライドだから画面の傷さえ気をつければ基本的に授業中でも操作しやすい。

まぁ操作する必要なんて基本的にないんですがね、メールする相手なんてそうそういないからね!

私は使い慣れた携帯の画面をイメージしながら操作していく。

ほぼ一斉削除された電話帳は数えられる程度の数しか登録されていない。

勿論何番目に誰が登録されているか暗記済み。

残すべきデータが少ないからね。

誰に連絡すればいいんだろ…?

拓人君?蘭丸君?

いや、多分どっちも出れない。

二人とも部活だし…。

携帯で出てくれそうな人は剣城君か、両親。

でも剣城君が部活に出ていたら出れないし、部活に出ていないならどうせゆっちーと一緒だ。

病院じゃ出れない。

剣城君はああ見えてモラルある人間だから携帯の電源を切ってあるに違いない。

切ってなくてもマナーモードになっているのかも。

残るは両親だ。

二人とも共働きで忙しいだろうが、この際腹に背は変えられない。

携帯の一番最初の登録者だがどちらにかけようか…。

悩む…悩むぞこれ…。

どちらにしようかな神様のいう通り……よし、お父さんにかけよう。

携帯を耳に当てようとした時、前方から声を掛けられた。

私は発信ボタンを押そうとした指を留め、声をかけてきた男を見た。



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