思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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車に誘導され、私は黒木さんの隣に座らされた。

逃げようにもトロい私じゃすぐに捕まるのがオチだ。

捕まって縛られるのは嫌だ。

私は流れ行く人や建物や電柱を一瞥しながら思った。

そして運転手から黒木さんへと視線をずらす。

「何処へ行くんですか?」

「…………」

だんまりですかそうですか。

沈黙の臓器と呼ばれると肝臓ですか貴方ちくせう。

無視は辛いぜ!

……あれ、おかしいな。

私前は気にしなかったのに。

私…ダメだ…剣城君の所為で無視が当然の事だと思えなくなってる。

人といる事が普通になってしまった。

知らない間に私は随分と我が儘になってしまったみたいだ。

慣れって怖いね。

今だって不安感をかなり感じている。

人恋しく思えるようになった。

ダメ…よくないこんなの…。

私には一人がお似合い。

昔から人と関わるとよくない。

剣城君とは少し距離をおくべきだ。

最初は剣城君を利用するつもりだった。

噂に聞く一番怖い一年生。

彼の金魚のフンなら上手くパシリから逃げられると考えていた。

いや、正確的に言うと専属パシリだ。

パシリのレッテルは剥がれないけど他の人のパシリから離れられる。

その考えがよくなかった。

間違っていた。

剣城君一人と限定した事で怖い一年生として特別だったのに更に特別扱いになってしまった。

これじゃ本末転倒だ。

やがて車が停車し、車からおろされる。

知らない場所。

ここは何処?

薄暗いコンクリートの建物の中を歩きながらついていく。



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