思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
2ページ/4ページ




私はこの声をよく知っている。

ゆっくりと声の方を見る。

「つ、剣城君…!」

ヤバい、これはかなりヤバい、確実にヤバい。

バカな私でもそれくらいわかる。

それくらいヤバい。

私は咄嗟に携帯を後ろに隠した。

「何してるって聞いてんだよ」

だんだんと近付いてくる剣城君。

「わ、私はその…、えっと…」

視線が泳いでも目が見えないだろうから問題ない。

「誰と話してた」

金色の瞳が私を睨み付けていた。

「剣城君には…関係ないじゃん」

実際には凄く関係ある。

寧ろ話の内容は剣城君自身の事だ。

大体なぜ興味を持ったんだ、どういう理由と経緯だ。

まさか私に興味が出たのか!

毎日ストーキングしただけはあったね。

私の努力は褒め称えるべきだ。

自惚れて油断した隙に(基本的に私はいつも油断しているんですがね!)パッと奪われてしまった携帯。

ディスプレイの文字に剣城君は眉をしかめた。

きっと文字はマイダーリン(笑)のはずだ。

剣城君は耳に携帯をあてた。

「誰だ」

そして話していく内に眉間の皺が2割増しになっていく。

ヤバい、本格的に私の死亡フラグだ。

剣城君は携帯を強く握り締め…大きく振りかぶった。

携帯は勢い良く壁にぶつかり、音を立てて重力に従い、落下した。

一瞬のトキメキ。

携帯を投げるなんて皿を地面に叩き付けるより楽しそうだ。

「え、ちょ、ええっ!?」

なにそれ携帯ご臨終じゃん。

これが自分の携帯じゃなくてよかったと思う。

まさか投げ出すとは思わなかった。

放棄じゃない、投げ飛ばす方だ。

というか勿体ない。

どうせ壊すなら私が壊したかった。

あんな清々しい壊し方はなかなか出来るものじゃない。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ