思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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剣城君がこちらに歩いてくる。
さっきのボールを蹴ったのは剣城君に違いない。
私はさっと円堂監督の後ろに隠れ、剣城君を陰から覗く。
やっぱり怒っている剣城君は怖い。
マジで怖い。
逃げ出して隠れたいし泣きたい。
「ささささっきは逃げてごめん。もう一回私に説明させて」
剣城君は私を睨んでいる。
円堂監督を盾にするのはやっぱり卑怯だよね、うん。
「さっきのは避けて正解だったはずだ」
「え?」
私は剣城君から円堂監督に視線を移す。
「今のが当たっていたらお前、骨折るぞ」
円堂監督の言葉にサーっと血の気が引く。
骨折とかやだなにそれ怖いっ!
私はきゅっと円堂監督の服を掴んだ。
と言うか円堂監督は何か誤解しているようだ。
まさか私をドMかなんかと勘違いしていないか…?
「あの、円堂監督…私別に今のボールを避けようとしなかったんじゃなくて避けられなかっただけで、ドMとかじゃないです」
「そうなのか?」
やっぱり円堂監督は勘違いしていたようだ。
円堂監督も天然なの?
凄い天然率…!
「そうです」
私は円堂監督の陰から出て、一歩剣城君に近付いた。
また泣いちゃわないかな、大丈夫かな。
勇気は心の中にある。
ストー婦人もそう言っている。
カットびんぐよ、私!
「もう一度話したい」
それを言うと同時に意気込んで吸い込み過ぎた息を吐き出した。
たった一言を言うのにこんなに苦労するとは思わなかった。
イケメンですねっ!
(自己満足は私の前では禁句よ。)
(言ったら泣いちゃうからね。)
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