思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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剣城君にはもうくるなと言われた。

でも私は納得できてない。

だから、命令を聞いたりしない。

現に私はゆっちーを訪ねている。

「こんにちは、ゆっちー」

「いつも本ありがとね」

差し出された本のカバーには見覚えがある。

私の行きつけの本屋のブックカバーだ。

「いえいえ、私こんな事しか出来ないですから…」

本を受け取り、鞄に入れた。

「また本、持ってきますね」

チャックで髪を挟みそうになってちょっと焦った。

「どうしたの?泉ちゃん」

急なゆっちーの質問。

「…ゆっちーは、私がここに来るの迷惑ですか…?」

「どうしたの、急に?」

「迷惑ならはっきり言っちゃって下さい…私ゆっちーの優しさに甘え切ってて申し訳ないです」

私、バカだ。

ゆっちーは優しいからそう言う事言わないなんて勝手に思い込んで、ゆっちーの考えとかちゃんと聞かないで…私最低だ。

人に弱さにつけ込む所なんて私あの組織(フィフスセクター)と一緒じゃない。

私は俯き、きゅっと自分の手を握った。

「ちょっと待って、俺迷惑なんて思ってないよ?」

その言葉にバッと顔を上げた。

「ホントに!?」

「うん」

ゆっちーが頷くのを見て、止まりかけていた呼吸を再開できた。

だからと言ってノーと答えられて呼吸が止まって窒息死しちゃうわけでもないと思うけど。

ここは病院だから私は命を落とすことなんてないと思う。

「じゃ、じゃあこれからも来ても大丈夫…?」

「大丈夫だよ」

ゆっちーが微笑んだのを見て、私の不安は吹っ飛んだ。

「よかった」

こうやって肯定された次の瞬間に笑えるものだから人間単純にできているな、なんて思う。

それは私だけか。

「京介に何か言われたの?」

「え?」

「だって、急にあんな質問するんだからね…」

「あー、流石です」

優一さんは結構鋭いんだなと思った。

「喧嘩?」

喧嘩、喧嘩ではないのかな…。


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