思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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携帯が震えた。

ポケットから携帯を出してディスプレイを見れば番号だけが表示されていた。

電話帳登録外の番号だ。

黒木さんのはちゃんと登録してある筈だし…まさか、あの上品ぶった破廉恥聖帝か。

ホステス聖帝か。

今更何の用なんだ。

恐る恐る通話ボタンを押す。

「もしもし?」

『あっもしもし?織武先輩!?』

電話の相手は自分が予想していた相手よりもずっと高い声。

おかしい、非常におかしい…。

松風君が何故私の電話番号知っているんだ。

私極力携帯番号教えてないんだぞ。

私から教えた覚えもないし。

「どうして松風君が私の番号知ってるの?」

『キャプテンに聞いたら携帯番号教えてくれました!そんな事より大変なんです!』

そんな事って…。

私のプライバシーはそんなに大切でないと?

人権侵害する気か。

取り敢えず拓人君は後で叱っておこう。

勿論泣かない程度にだが。

『剣城がさっきいきなり連れて行かれちゃったんですよ!』

「え、何?剣城君が誘拐された!?」

確かにそれは大変だ。

でも私の個人情報漏洩もなかなか負けてないぞ。

「やっぱり犯人はブラックウッド氏!?」

『ブラックウッド…?』

不思議そうに反復された言葉。

私のジョークが通じないようだ。

「あ、あの黒木さんって人だよ」

『海王の選手だったんですけど…』

「あれ、そうなの?」

なんだ、私はてっきりあの上品ぶった破廉恥聖帝が萌え袖黒木さんに命令して剣城君を誘拐させたのかと…。

『剣城はくるなって言ってたけど、俺、心配で…。でも居場所が分からないんです…。』

いつもの明るさがなくなり、松風君らしくなかった。

「…松風君は今何処いる?今からそっちに行くわ」

『今校門前です』

「そう、じゃ、今から行くわ。後でね」

私は通話を切り、校門の方へと走り出した。



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