思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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学校の帰り道。

帰り道と言っても今日はバイトの日なのだから方向は家ではなく、お店の方だ。

「ちょっとこっち向いて」

少し叫ぶような声に思わず振り返った。

大抵の人はその場にそ際ない様な大きな声に振り返ってしまう。

それが人間の性というやつだ。

私が振り返ればそこには男がいて。

下半身を露出させていた。

そう言えばこの辺に露出狂が出るって学校で連絡されてたなーなんて他人事のように考えた。

普通の女の子なら叫んで逃げていくはずだ。

だが私はフツーの女の子じゃない。

毎年露出狂に遭っている。

特別驚く様な事じゃない。

私は考えながら携帯をカメラモードにして素早く決定ボタンを押して写真を撮影した。

私の撮影はとにかく優れ過ぎている。

このスピードでもちゃんと写真が撮れているのだから。

私は直ぐに逃走した。

盗撮なんて言わせない、先に見せびらかして来たのはそっちなんだから。

露出狂と言うのは大抵見せてびらかして、それを見たこちらが逃げるのを楽しんでいる。

露出狂なんてのは何もしなければ殆ど害がない。

だけど撮影なんてされたら男は私を追ってくるに決まっている。

だから何も考えずに逃走した。

ホントなら私はこの辺の近所の名前を叫びながら逃げるべきなんだろうけど、生憎私はこの辺の人の名前なんて知らない。

何も考えずに走ってるから見知った道じゃない。

どうせ駅の近くのお父さんのお店に逃げ込むならちゃんとした道通ればよかった。

近道しようとしたのがいけないんだな。

やっぱりちゃんと考えて逃げるべきだったと反省したい。

見知った道に出て、あと数百メートルでお店だ。

一瞬だけ、鮮やかな赤を見た。



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