思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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見知った色に一瞬スピードが弱まり、過ぎる色を見てしまった。
そして同時に見えたあの露出狂の男。
やっぱり追って来ていたらしい。
「たたたたっけてっ!!」
見知った赤に叫んだ。
赤が動いた。
彼はその長い足伸ばし、男を転ばせた。
スライディングした男が彼を見上げれば、目が合ったらしく、男は慌てて立ち上がり元来た道へと走っていった。
転んだ所為でアレがダメになっていたとしても私的にはオールオッケー。
自慢するものがなくなってもう犯行しようとは思わないだろう。
私はぺたんと地面に座り込んだ。
整わない呼吸を肩でして、酸素を吸う。
こんなにも怖い思いしたのは初めてだ。
靴音と共に足が見えた。
目を上げれば、イシドさんが手を差し伸べてくれていて。
私は迷わずにその手に捕まった。
大人の男の人というのはやっぱり力が強いらしく、私はひょいと立ち上がる事が出来た。
私は先程の事もあり、すっかり力が抜けてしまっていて、イシドさんがいないと立っていられない。
イシドさんに半ば体重を預ける形でしがみつく。
自然と涙が出た。
安心感とか、疲労感とか恐怖感とか一気に押し寄せてきて、気持ちが混乱した。
それをイシドさんが受け入れてくれている。
イシドさんはみんなが思っているよりもずっといい人だ。
「ありがとう、ございます…」
私はその一言を言うのでいっぱいいっぱいだった。
露出狂
(イシドさんが居なかったら、私はどうなっていたんだろう…?)
(イシドさんは命の恩人です。)
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