思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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「それを頼む」

私は席を立ち、店の厨房の方へと向かった。

そこからプリンとホットコーヒーを持ってイシドさんの所へと戻った。

気に入ってくれるだろうか。

「どうぞ」

「ありがとう」

「いえいえ、それはこちらの台詞ですから」

コーヒーに一応ミルクを持ってきたのだが(砂糖は各テーブルに角砂糖のシュガーポットが置いてあるから持ってくる必要はない)…どうやら必要なかったみたいだ。

何も入っていないブラックコーヒーをイシドさんは飲んでいた。

大人になったら苦いコーヒーを飲める様になるのだろうか。

今の私からは想像ができないや。

私は他に特に見る物がなかったのでイシドさんを見ていた。

イシドさんはイケメンだからこうやってコーヒーを飲む様は絵になる。

まるでどこかの乙ゲーみたいだ。

「何を見ている」

そうそう、乙ゲーだったらそう言う…あれ?

型通りの台詞に驚いた。

ここで切り返しの台詞は3つ。

別に。 貴方を見ている。 幻。

さぁ、どれにしようか。

「普通にイシドさん見ているんですが」

「そうか」

短く返され、フッと笑われた。

なんだ、何がおかしいんだ。

イシドさんはよく分らない人だ。

私を見た第一声が面白いだったし。

何が面白かったのか未だに分からずじまいだ。

「イシドさんイシドさん、こういうのデートって言うんですかね?」

ちょっと言ってみたくなった言葉。

イシドさんみたいな年上のイケメンとデートなんてそうそうないが。

あ、でも私はイシドさんの事をあの時はダーリン(笑)と呼んでいたなーなんて思い出した。

イシドさんは私の言葉に動きを止めた。

「何をいきなり」

そんなに不快か。

ちくせう、分かってるよ、そんな事…ちょっと言ってみたくなっただけなのに。

ああ、でも大人をからかうのは大変楽しい。

「男の人とのデート経験がないのでデートしたらこんな感じなのかなと思ってみただけです」

「そう言う事言うと勘違いされると思うんだが」

私だってどこぞの超天然のトロイ子じゃないし、自分美少女だなんて思って男はみんな自分に好意を寄せるものだと思ってる勘違い女じゃない。

でもイシドさんの言っている意味は分かる。

「私は嫌われ者ですよイシドさん。人に好かれる事なんて滅多にありません。私にいい顔しようとするような人間がいるならそれは私を嵌めようとしているか、利用しようとしている様な人くらいですよ」

「俺もその一人か」

「事実そうでしょう?」



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