思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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そして私はでも、と言葉を続けた。
「イシドさんは私を助けれくれたいい人です。だから信じますよ。だからもう一度お友達からスタートって事でアドレス交換しま…おおふぅっ!!」
私はポケットから携帯を出し、いい事を言おうとしたのがいけないんだ。
携帯の画面見た瞬間、あの時撮影した露出狂が写っていた。
私の台詞が台無しである。
一瞬携帯を床に叩きつけようとしてしまった。
「どうかしたのか?」
「いえ、画面見た瞬間がこれでしたので…」
イシドさんは画面の映像に不快そうに顔をしかめた。
そうですね、誰だって男性器見たって楽しくないですね、私も楽しくないです。
イシドさんは勝手に私の携帯を奪い取り、何か操作し始めた。
「え、ちょ、何してるんですか?」
「画像は削除した」
「ちょ、後で警察に持って行こうと思ったのに何してるんですか!」
「そうだったのか」
「そうですよ!あーあ、イシドさんのお陰で証拠写真が台無しです」
台無しと言いながら私は満足感に似たようなものを感じていた。
あの写真はトラウマの一つになっているに違いない。
イシドさんから携帯を返してもらって気付いた。
画面は電話帳になっていて、一番最初に来るはずのおかあさんではなく、イシドシュウジの表記に驚いた。
「また変な名前で登録されたら困るんでな」
イシドさん、マジツンデレなんですね。
私の携帯で勝手に変更できるんですがね、なんて事は言わないでおく。
「ありがとうございます」
今日はお礼をよく言う日だ。
「これを貸しだなんて思わないでくださいね。盗聴器の事をチャラにできた程度なんですからね」
イシドさんをドアの外まで見送った。
勿論いつもはドアの内側で、態々私は外に出たりしない。
これは私としての行動であるからで、いつもの事務的なものではない。
「ありがとうございましたっ!」
いつもの店員らしい間延びした様な定型文の様に言うのではなく、私という存在として、イシドさんにお礼を言いたかった。
イシドさんには感謝してもしきれないや。
ハプニングは一日を最も彩ってくれる
(イシドさんは私たちが思っている以上にいい人かも。)
(雷門の応援しにくくなっちゃった…。)
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