思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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「狩屋!織武先輩だよ!」

おいおい、何勝手に紹介しているんだ。

ただの部活妨害じゃないか。

「狩屋マサキです」

「あ、織武泉です」

私も慌てて名乗る。

普通に自己紹介しちゃってるし…。

私マネージャーでもないのになんで自己紹介してるんだ。

松風君にはいちいち調子を狂わされる。

「練習の邪魔しちゃってごめんね」

踵を返して階段を4段上がった所で気付いた。

私松風君に用があったんじゃないよ、拓人君に用があったんだよ。

教室入ってから渡すのは非常に勇気がいる。

私監視されるし…いや、監視っていうか、拓人君が寧ろ監視というか超見られている。

主に神童様ファンにだ。

大抵の女子が拓人君にトゥントゥクだからね。

拓人君の方は天然なのかよく分らないがそれに気付いてないみたいだし。

いや、それとも女子に見られすぎてそれが通常運転だと思う様になってしまったのかもしれない。

なんて羨ましい、いや私は違う意味で見られる事多いけど、うん。

せめて普通に見られるようになりたいなーなんて。

体の向きを変え、グラウンドを見つめる。

私はベンチに座るのもなんだか申し訳なくなり、階段の下から5段目の所に座った。

あんまり下の方座るとボールに当たる確率が高くなる。

大会に出る程の実力者のチームと言ってもたまには失敗もあるだろうし。

私を嫌っている女子の様にワザと当ててくるかもしれない。

私にベンチなんか勿体無い、石段で十分だ。

正直に言えばベンチには行きづらい。

既に空気が出来あがっている。

例えるなら入学して2ヶ月くらい経ってから、一緒に食事をしていいか誘うくらい…いや、確実にお昼誘う方が辛い。

鞄を脇に置いて練習が早く終わらないかと頬杖をついて待つ。

尻が冷え、痛くなってきた頃にやっと練習が終わったらしく、ベンチの方に集まっていく。

私はやっと石段から解放されたのだ。

よく耐えた、尻っ…!

冷えと痛みに耐えた自分の尻を心で褒め讃えながら、スカートについた砂を払うために尻を叩いた。




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